この記事は2006年1月に掲載されたものです。
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庭劇団ペニノ『ダークマスター』

カテゴリー: fringeのトピック以前 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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庭劇団ペニノ『ダークマスター』、ものすごい作品です。必見です。

初演とは別作品と言っていいでしょう。これは伝説になるだろうし、クチコミで観客が増えると思います。私が観た回は半分程度の入りで、FMラジオも1人1台行き渡りましたが、今後はグリング『海賊』と同じ現象が起きる可能性大です。早めの観劇を強く勧めます。

なにを書いてもネタバレになりそうで、ここからは言葉を慎重に選びたいと思いますが、主宰の自宅マンションを劇場化したり、西新宿の野外に巨大な舞台装置を組んだりと、常人の想像を遥かに超えた表現を敢行するペニノの面目躍如と言うべき公演でした。その全容に比べると、FMラジオを使った演出でさえ些細に感じるほど(だからと言ってチラシから削るべきとは思いません。これはこれで、「昼ギャザ」と同じ扱いで紹介すべきでは)。漫画を原作にしたエンタテインメントだと思って油断していると、たちまち置いていかれる劇構造。観客も真剣勝負を強いられます。

原作とは異なる視点の作品ですが、狩撫麻礼氏が人生のバイブル『迷走王ボーダー』で描いた「こちら側/あちら側」の感性に通じます。プレビュー記事やアフタートークで一定の解釈は得られますが、まずは自分なりの解釈を楽しんでみてはどうかと思います。

記録を調べると、ペニノがプロフェッショナルの舞台監督を起用するのは今回が初めて。あの『黒いOL』でさえ舞台監督なしで上演した彼らが、なぜアゴラ劇場で必要だったのか。その理由がよくわかります。若手演劇人は、後学のために観ておくべきでしょう。


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