この記事は2007年8月に掲載されたものです。
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人は1年で変わる

カテゴリー: fringeのトピック以前 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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人は1年あれば変わります。いま演劇に全く関心のない人、むしろ演劇は嫌いだという人が、1年後にはバリバリの小劇場通になって、「ペニノ維新派には通じるものがあるね」などと語っているかも知れません。

私自身が体験した嗜好の変化をご紹介すると、私は昨年6月まで芋焼酎を全く飲みませんでした。むしろ嫌いでした。時期をはっきり覚えているのは、昨年5月23日のPmP2006事務局顔合わせで、庭劇団ペニノの野平久志氏が「最近、芋焼酎に凝っているんですよ」と言ったのを聞いて、「世の中には物好きもいるものだ」と思ったからです。

それまで私がイメージする芋焼酎は、若いころ流行った梅干を入れたお湯割りでした。当時何回か頼んではみたものの、鼻につく独特の匂いがどうしてもダメで、それ以来芋焼酎は封印していたのでした。氷を入れたロックグラスで飲んでいる人がいるのは目にしていましたが、やはり「変わった人もいるものだ」と思っていました。

どのくらい芋焼酎に疎かったかと言えば、その後宴席などでやむを得ず芋焼酎のロックを口にしたとき、「これは最初から水で割っているのではないか」と疑ったほどです。あの芋焼酎が、こんなにマイルドになるとは想像もつきませんでした。店員が一升瓶から直接グラスに注いでいるのを確認して、初めて信用しました。あの「梅干を入れたお湯割り」はなんだったんだろう、と愕然とする思いでした。

店もこの1年で激変したと思います。それまでビール→地酒→麦焼酎→芋焼酎の順番だったドリンクメニューが、いまや和食だと芋焼酎から始まるところがめずらしくありません。イタリアン、フレンチでも芋焼酎を揃えているところがあります。家の近所には、超人気の佐藤黒をボトルキープ出来る店もオープンしました

私も芋焼酎のロックが普通になり、銘柄も飲み比べ、いまでは「困ったときは富乃宝山」「佐藤の黒もいいが、白麹のまろやかさも捨て難い」など、自分でも信じられない会話をしています。私に焼酎の選び方を尋ねる人もいるくらいです。

この文章の「芋焼酎」は「小劇場」に変えられると私は思います。芋焼酎だって、もっと早くからロックを広めていれば、この状況は前倒しで実現していたと思います。