こまばアゴラ劇場と劇団桃唄309の制作者・岩佐暁子氏が、明日図鑑の制作も手掛けると公開日記に書かれていました。明日図鑑は専任制作者の方がいたのですが、いまは仕事の関係で離れられているようです。カンパニーの規模や方向性から考えると、よい出会いだと思います。
明日図鑑は、私が「東京ニュー静か系5劇団」と勝手にグルーピングしているうちの一つです。こういうレッテルが不愉快なのは重々承知していますが、なにか切り口がないと、集団の数が多すぎる小劇場界では説明しにくいのです。ご理解ください。
「東京ニュー静か系5劇団」 by 荻野達也(旗揚げ順)
1992年 明日図鑑
1996年 THE SHAMPOO HAT
1997年 グリング
1998年 ONEOR8
2000年 ペンギンプルペイルパイルズ
もちろん、個々のカンパニーには個性があり、実際に作品を観ればその違いがわかります。物語は違っても、根底に流れる作家性は変えられるものではありません。この5カンパニーの違いを説明出来るようになれば、東京の小劇場通と言えるのでは。
これも語弊があるかも知れませんが、私はこの5カンパニーを性善説と性悪説で色分けしています。明日図鑑は明らかに性悪説。作品によって落差が激しいですが、その持ち味が発揮された作品での余韻は得難いものがあります。きちんとプロデュース出来れば、大きく化けるでしょう。旗揚げで先輩なのに、この中ではマスコミでの扱いが最も地味だと思いますので、岩佐氏の活躍に期待しています。
前から感じていたのですが、この5カンパニーの客層は非常に近いと思います。ただ、全部を観ている観客は限られるでしょう。同じような作風のカンパニーが、互いに存在を知られていないのは不幸です。5カンパニーの共通チケットや共通DMを企画して、いま一度観客をシャッフルする試みがあれば、東京の小劇場界は変わると思います。
余談ですが、岩佐さんの公開日記にこんな記述が。
気になります。
ええと、見なかったことにしようか、それとも日記を書き換えて知らんぷりしようか迷ったのですが、どちらもあまり男前には思えませんので、レスします。
誰が見てようと構うもんかと、公然と愚痴を叫びたい夜もあったのです。心情的には、「ええいおまいら聞きやがれ」だったのですが、こうして取り上げられると、公共の場で書くにはちょっとたしなみにかけたかと、やや反省しています。
この記事がアップされてから、カウンターが跳ね上がったのでビビリました。
「決定権」が具体的にどこまでを指すかはわかりませんが、演劇制作に限らず、責任のない仕事はやりがいを感じないでしょう。こういう状況の制作者がどうなるかは、イヤになるほど見てきましたので、本当に気になっていました。
fringeは、そうした悩める制作者の力になりたいと思っています。会員制の演劇経営MLもありますので、ご検討ください。
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