この記事は2006年12月に掲載されたものです。
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『犬神家の一族』

カテゴリー: fringeのトピック以前 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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以前書いたとおり、私が人生で最も影響を受けた邦画は『犬神家の一族』です。今年はそれが30年ぶりにセルフリメイクされたわけで、1月の製作発表からずっと気になっていました。前作を超えることは難しいだろうけど、思い出を汚すような作品だけはつくってほしくない……。期待と不安の入り混じった日々を過ごし、23日に足を運びました。

「なんのためにリメイクしたのか」「これのどこがいいのか」という批判もあるとは思いますが、オープニングで大野雄二氏のテーマ曲に鉤状のクレジットが映っただけで、私はもう感涙でした。これが観られただけで満足――ファンとはそういうものです。一瀬隆重プロデューサー曰く「8億円の自主映画」だそうですが、今回はそれでいいんじゃないかと思います。この興行成績では厳しいようですが、ヒットしたら次は『本陣殺人事件』という案もあったようで、それだけが残念です。

64歳の石坂浩二氏はどうなることかと思いましたが、意外に違和感はなく、それなりの金田一耕助でした。原作の設定年齢ではないけれど、こういう探偵がいてもいい、こういう金田一がいてもいいと思わせる存在感。やはり、金田一耕助は石坂氏しかあり得ません。「映画をめぐる怠惰な日常」に全く同感です。あのラストシーンを撮りたいがために、セルフリメイクをしたのでしょう。そう思いたいです。このトークショーも行きたかった……。

加藤武、大滝秀治の両氏が30年前と同じ役で、草笛光子、三條美紀の両氏も役を変えて出演。感慨深いものがありますが、琴のシーンでもう岸田今日子氏はいないのだなと悲しくなりました。今年は実相寺昭雄監督も逝ってしまわれ、寂しい限りです。

プロモーションのスケキヨくんだけはいただけません。佐清はもっとおどろおどろしい存在でないとダメでしょう。グッズを買おうと思っても、全部これが付いています。宣伝担当者はこの作品の世界観を全くわかっていません。私がグッズ担当者なら、オリジナル版のファンが大人買いする商品企画をいくらでも考えられるのに……。

金田一です。
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