この記事は2009年11月に掲載されたものです。
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熱を帯びる日本海

カテゴリー: 京都下鴨通信 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 田辺剛 です。

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先日、京都府北部にある町、舞鶴に行ってきました。

 京都府は京都市などがある南部と天橋立や舞鶴がある北部とに分けて見ることができます。わたしは京都市に移り住んで15年近くになりますが、まだその「北部」には行ったことがありませんで、初めての訪問となりました。
 ちなみに舞鶴に行ったのはマレビトの会の公演「都市日記maizuru」の観劇が目的だったのですが、舞鶴には旧日本海軍が武器や食料を保管するための大きな赤れんが倉庫がいくつも残っており(重要文化財指定)、その一つを会場にする公演でした。この赤れんが倉庫、戦後ただの空きスペースになってしまい取り壊しが検討されたときに文化財としての価値があるのではと思った人たちが運動を起こし、今では舞鶴の観光名所の一つになっています。舞鶴市役所の隣にあり、市から委託を受けたNPO法人が管理。そして2009年度からはここをアートの拠点にしようというプロジェクトが始まったのだということです(アートプロジェクト「MAIZURU RB」)。マレビトの会の公演もその流れにあるものでした。

<リンク>
MAIZURU RB
マレビトの会「都市日記maizuru」

 赤れんがの中は独特な風情があり、マレビトの会の作品もその場所でなければ成立しない劇空間をつくり出していました。面白かったです。また近くの別の倉庫では現代美術の展示やJCDNの「踊りに行くぜ!」も開催されていました。実はこの時期に舞鶴では「全国アートNPOフォーラムin舞鶴」が開催されており、フォーラムや各種企画が行われていたのでした。わたしが舞鶴に行った時は、そのように全国からアートNPOの関係者が集まっているところだったのです。
 せっかくなのでそのフォーラムにも参加して、このように大都市圏から離れた町でどのように芸術や文化といったものに取り組んでいくのか、そうしたハナシを聞きながら考えました。ここで私見を述べるのはまた別の機会にしたいと思いますが、大都市とは違うアプローチによって芸術や文化に取り組む試みは今後とも注目したいと思いました。京都市も東京や大阪に比べると人口も回っているお金も小さな街です。同じ「京都」でもありますし、連携して面白いことになればいいなと思っています。
 そういえば舞鶴だけではないのですね。鳥取の「鳥の劇場」や金沢の「金沢市民芸術村」など、いえきっと他にもあるのでしょうけれど、つまりは日本海です。舞鶴以外にわたしはまだ行ったことがないのでなんとも言えない部分もありますが、聞くところの情報も合わせると、これ、日本海側は近年熱くなっているのではないかと思ったのでした。さまざまな地域でいろんな表現が起こっている。機会があれば積極的に見に行きたいと思います。

<リンク>
鳥の劇場(鳥取)
金沢市民芸術村(金沢)