この記事は2005年12月に掲載されたものです。
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週末だけの公演にクチコミはない

カテゴリー: fringeのトピック以前 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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いま上演中のグリング『海賊』が、クチコミでどんどん観客を集めています。観客同士のクチコミに加え、演劇人同士のクチコミも広がっていて、「俳優として観ておくべきだ」などのメールが飛び交っているようです。本当に優れた作品でしか起こらない現象だと思います。

12月9日~18日までの10日間14ステージで、ネット上を見ると14日夜ぐらいまで、まだまだ残席がある状況だったようですが、「小劇場系」によると日増しに動員が増え、17日夜は当日客が殺到して開演15分押しになったそうです。

この公演をもって1年間の活動停止、そして初の大阪公演ということで、作品の完成度も高まったのでしょう。クチコミが広まるだけの公演期間があって、本当によかったと思います。1週間で公演が終わっていたら、ここまで話題になったかどうか。

本当に勝負したい作品なら、やはり2週間借りて12日間は公演してほしい。本当に素晴らしい作品なら、前半1週間の観客が必ず「クチコミの伝導師」になってくれます。週末数日間だけの公演は、クチコミという最高の宣伝媒体を最初から捨てているわけです。

ロングランは冒険ですから、当然作品も吟味されてクオリティが上がります。クオリティが高い作品をロングランすることで観客も作品のハズレがなくなり、安心して劇場に通うことが出来ます。この好循環が小劇場にとって最高の処方箋だと私は考えます。

どうしてもロングランが無理なら、まずは日曜千秋楽ではなく、月曜火曜にこぼれさせていくことから始めること。週末の観客のクチコミが少しでも伝わる時間を稼ぐこと。その辺は[ナレッジ]で詳しく説明しています。

『海賊』は南河内万歳一座出身の中野英樹氏が主役です。関西にもクチコミが伝播して、芸術創造館が埋まるといいですね。


週末だけの公演にクチコミはない」への3件のフィードバック

  1. 中野英樹

    グリング公演・海賊をおとりあげいただきありがとうございます。グリング中野です。大阪公演に向かう列車の中より携帯電話にて失礼いたします。
    お陰様で口コミにより観客動員が爆発的に伸び、来年の紀伊國屋ホール初進出への弾みとなりました。仰る通り、口コミとは芝居人として最高の宣伝媒体と僕も強く思っております。
    が、
    その口コミという宣伝媒体が大阪まで届いているのか眠れないくらい不安に思っている大阪本番直前です。この大阪公演は南河内出身の僕が出した企画なので、集客に対する不安は「降り積もる大雪」のようでもあります。本当に!
    今回は自信作でもあり、より多くの方に観ていただけるよう強く願っております。
    大阪公演は東京公演よりも短い期間ですが(季節柄「お願いサンタさん!」という気持ちもあるのが正直なところです)それでも東京公演からの流れを汲んだ口コミの効果が出ることを願って、まだやれることは全てやってまいります。
    変わらぬ御指導、御支援を宜しくお願い致します。

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