この記事は2009年1月に掲載されたものです。
状況が変わったり、リンク先が変わっている可能性があります。



記憶に残るチラシの工夫

カテゴリー: しのぶの東京晴れ舞台 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 高野しのぶ です。

Pocket

 どんどん多様化し、受け取る枚数も増えている演劇のチラシですが、埋没せずに目に留まり、記憶に残り、集客に直結する力を持つものもあります。

 私がお芝居を観る度にもらう大量のチラシ束の中から、「この作品は観てみたい」「このアイデアは素敵」と思ったものをご紹介したいと思います。

 ※2006年の吉祥寺ちらし会議のために作成した個人資料によると、私は月に200~300種類のチラシを目にしている計算になります。

 ●まずは受け取った瞬間に絶対に観に行こうと決めた、急な坂スタジオ『ラ・マレア 横浜』(⇒公式サイト)のチラシです。手に取るとA4ぐらいですが↓
1lamarea.JPG

 2回広げると新聞紙の1面ぐらいの大きさになります↓ ※写真左は普通の新聞です。
2lamarea.JPG

 さらにもう1度広げた状態が最大↓
3lamarea.JPG

 舞台(現場)写真と作品紹介が充実しており、横浜・吉田町とのコラボレーション企画である点もすごくおしゃれにアピールされていました。これは目撃せねば!とひと目ボレ。

 ●あまりに可愛らしいので家に帰って家族にも見せたのが、劇団競泳水着『真剣恋愛』(⇒公式サイト)のチラシ。若い男女の恋愛を描く、トレンディー・ドラマ演劇という作風にピッタリのビジュアルですよね↓ ※サイズはA3横です。
kyoeimizugi1.JPG

 花火がハート型になっているのは合成ではないそうです。撮影時の大奮闘の様子がブログに掲載されています。
 A3横の紙の中央で切り取れるようになっており↓
kyoeimizugi2.JPG

 裏面は左右どちらかだけでも1枚のチラシとして完成しているため↓
kyoeimizugi3.JPG

 「片方を切り取って、一緒に観に行きたい人に渡す」という用途に使えます。なんとチラシ特設サイトもあります! ※残念ながら公式サイトのリニューアルでリンク消滅(涙)。←リンクが復活しました(2009/01/27)。
 このチラシが佐藤佐吉賞2008の宣伝美術賞にノミネートされていなかったのは、個人的に意外でした。でもデザイナーの立花和政さんはキリンバズウカ『飛ぶ痛み』でノミネート(&最優秀宣伝美術賞受賞)されているので、『真剣恋愛』は敢えて選考に入らなかったのかもしれませんね。

 ●そしてZOKKY『ZOKKYののぞき部屋コレクションPart3』(⇒公式サイト)の仮チラシたち。全11種類の内、私の手元に残ったのは5種類でした(⇒公式サイトで全ての紹介あり)。ZOKKY出演予定の役者が出演する公演に折り込まれており、それぞれの公演・団体に合わせたデザインになっています↓
zokky.JPG

 特に柿食う客に折り込まれていたもの(写真右端)は、わざと好戦的に書かれた文章が柿食う客のカラーにぴったりで、開演前に読みながら笑ってしまいました。これはぜひ観に行こうと思い、柿食う客のコロさんが出演する作品を拝見しました。
 「●●さんが出演します」とだけ書かれた仮チラシは情報開示の意味での効果はありますが、東京では仮チラシの数も種類も増えていますから、情報プラスαの印象を見込める工夫がもっと成されてもいいのではないかと思います。

 ●最後は、前回公演から宣伝美術を上田大樹さんが手がけるようになった、スロウライダーの『クロウズ』。2008年と2009年で裏面の文章が少し変わっているのも、なかなか気が利いていますが(解散を発表したのが2009年からだったため)、私が最も嬉しかったのはタイムテーブルです。※劇団に掲載許可をいただきました。
slowrider_crows_flyer.JPG

 縦軸の開演時刻が「14:00開演」「19:00開演」となっています。タイムテーブルの時刻にプラスして「開演」という漢字が書いてあるのはとても珍しいです。演劇をよく観る観客は「19:00」と書いてあればそれが開演時刻であることはすぐに予想できますが、演劇(小劇場の場合)には受付開始、開場、開演という3種類の時刻がある場合が多く、初心者にはわかりづらいものです。

 また、縦軸に開演時刻、横軸に日にちが書かれているその間(左上・隅)に「2009年2月」と書かれているのも素晴らしいですね。1度の観劇で膨大な枚数のチラシを受け取る東京では、分厚い束の中に数か月分の公演のチラシが入っています。どの時期にあるのかがタイムテーブルを見ただけでわかるのは、非常にありがたいです。日付と時間だけなのがほとんどなので。

 ◎下記はご参考までに。2009年に入ってから入手したタムチック『eat, egg, east』のチラシ裏面には、カレンダー1ヶ月分が掲載されていました。※劇団に掲載許可をいただきました。
TAMtic.JPG

 公演数が非常に多い東京での短期間公演の場合、こういったカレンダー全体表示は効果が高い気がします。「この月の、この週末の公演なのね」と視覚的にとらえられますからね。


記憶に残るチラシの工夫」への2件のフィードバック

  1. 「メロメロにしてやんよ!」

    チラシのインパクト

    そういえば、こちらのブログにチラシの裏面って載せてなかったんですよね。

    「裏面ってキャストとかの情報がちっちゃい字で書いてあるだけでしょ」
    と思った方、

    今回に限ってはちょっと甘いです。

    今回のチラシは、
    「折込で手に取ったお客さんがビビる」…

コメントは停止中です。