東京公演を続けている地域のカンパニーをネガティブに書くべきか迷いましたが、今回の件は指摘したいと思います。東京国際芸術祭2007参加作品の飛ぶ劇場『正しい街』は、3連休に公演日程を持ってきながら、なぜ土日各1ステ(合計2ステ)しか上演しなかったのでしょう。なぜ祝日は上演しないのでしょう。
観客の感覚として、3連休に公演するのなら、当然3日間とも上演すると思います。それでなくても連休は観たい作品が重なりますので、タイムテーブルを見て愕然とした方も多かったのではないでしょうか。飛ぶ劇場は私も出来るだけ足を運んでいますが、今回は無理でした。ネット上でもステージ数の少なさを指摘する観客は多く、下記のようなご意見もありました。手厳しいですが、率直な感想として受け止めてほしいと思います。
飛ぶ劇場の東京公演は元々3~4ステージですが、今回残念なのは3連休なのにそれを活かしていないこと、観客にとっては満を持してのにしすがも創造舎上演に思えるのに、逆に2ステージと縮小再生産になっていることです。リージョナルシアター・シリーズと正式参加を繰り返し、飛ぶ劇場ほど東京国際芸術祭の顔になっているカンパニーはありません。地域のカンパニーに勇気を与えるためにも、ここでステージ数を増やさないでどうするのかと思います。昨秋の福岡公演でも3連休で祝日を残していますが、東京でこれをやるとカンパニーの意識が問われると思います。
同じく休日を残した例として、2006年2月の劇都仙台2005演劇プロデュース公演『ドドミノ』東京公演でも似たことを感じました。このときは金土各1ステ(合計2ステ)の上演で、日曜は使わなかったため、お笑い系の団体が1日だけ使用しました。日曜まで日程を抑えられたはずなのに土曜終わりにするのは、東京の小劇場公演では異例です。このときも私は予定が合いませんでした。
地域のカンパニーが東京公演をする目的は、作品を世の中に問うためのはず。公演のひしめく東京で観客を獲得するには、出来るだけステージ数を多くして、観劇機会を増やすことが重要です。それなのに上演出来たはずの休日を残してしまうのは、本当にもったいないと感じます。小劇場系だけで連日何十本も上演されている東京では、2ステを満席にするより、多少空席があってもステージ数を増やすほうがはるかに意味があります。
上演する側にとって、休日を残しての旅公演がどんなに楽かは、私もよく承知しています。仕事を持つ劇団員が休み明けから職場に戻れるのも大きいでしょう。しかし、東京公演は思い出や行政の実績づくりのためにしているわけではないはずです。
ステージ数を増やさなければ、いつまで経っても作品は広がっていきません。部外者には計り知れない事情があるのかも知れませんが、それが休日を残すという露骨な形で表われるのは、やはりマイナスイメージだと思います。どうか、作品を世の中に問う姿勢を公演日程でも見せてください。それがプロデューサーの仕事だと思います。
飛ぶ劇場はシアタートラムのときもステージ数を少なく抑えてリハーサルを多くとっていましたね。僕は敬意をもって見ていました。
私自身もTOKYOSCAPEの京都公演で当初の公演日程は余りに楽観的であると考えて4ステージに縮めました。
ステージ数を増やしたいのは演出家も同じ気持ちです。それを抑えるということは何よりもクオリティーへの意識の問題であると思います。「思い出や実績づくり」などといったことは全く見当違いの恥ずべき曲解ではないでしょうか。
ヨーロッパでは1日に2ステージでの上演はあまりありません。1日に2ステージを上演することを日本の悪習と考える立場はあり得ると思います。
公演が終了したあとで指摘するのも評論家として恥ずかしいことではないでしょうか。公演日程が発表された時点ですぐに指摘されていれば公演の追加なり劇団からのコメントなりを得ることも検討できたでしょうに。
荻野さんの主旨は連休なのに祝日に公演をしていないということだったのですね。引用元の「土日2ステージのみ」という言葉から、1日に2公演しないのはどうかという文脈に読み違えていました。申し訳ありません。
クオリティを維持するために1日1ステということはあるでしょう。今回の指摘はお気づきのとおり、3連休なのに休日に公演しなかったのはなぜかということです。
公演前に指摘しなかったのは、楽日を後ろにずらすことが制作上困難だからです。作品内容とは直接関係ないことですから、影響を与えないためにも公演終了を待って書きました。