「エンタメに生きる」に触発されて書きますが、デ・パルマの傑作中の傑作『ファントム・オブ・パラダイス』が昨年10月から999円で売られています。税込価格ですから絶句です。期間限定「FOX999DVDセール」によるもので、年末で出荷停止になっていますが、店頭在庫がある限りは購入出来ると思います。
昨秋これを知ったときはちょっと複雑な気分で、それというのも『ファントム・オブ・パラダイス』は私のオールタイムベストテン第1位なのです。「おまえは三留まゆみか」と言われそうですが(※)、好きなものは仕方がない。DVDも2002年の発売時に定価(税込4,179円)で購入しましたが、『ロッキー・ホラー・ショー』のようにマニアックな特典満載になると期待していたら素っ気ない仕様で、とても寂しかったです。
私が『ファントム・オブ・パラダイス』に出会ったのは、よみうりテレビの深夜企画「シネマだいすき」第11集「異常心理学入門」でした。たぶん1986年で、これがテレビ初放送だったと記憶しています。「シネマだいすき」は現在まで続く人気企画で(現「シネマダイスキ」)、関西在住でこれを知らない人はいないはずだし、もしいたら、そんな人とは友達になりたくありません。
「Phantom Of The Paradise」*1 にも書かれているように、当時は本当に衝撃的で、いつの間にか出たLD(87年発売)の品薄在庫を探し歩き、大阪から秋葉原まで足を運んで石丸電気本店でやっと手に入れました。ユーロスペース+シネマライズ渋谷によるリバイバル上映(88年)は、関西でも全大阪映画サークル協議会が近鉄小劇場でやってくれて堪能しました。凝りに凝ったレコード風パンフレットも感涙ものでした。ユーロスペースサイトにあるこの解説文*2 は、このときのものです(元はLDライナーノーツ)。
『オペラ座の怪人』をモチーフにしてはいますが、内容は全く別物。劇中劇『ファウスト』が換骨奪胎した形で、「snowmint」に書かれている評が的を得ていると思います。万人に受けるとは思いませんが、はまる人ははまるでしょう。私が『オペラ座の怪人』(映画も舞台も)を非常に醒めた目で観てしまうのは、『ファントム・オブ・パラダイス』の衝撃があまりに大きかったからです。
最近は名作が安価にDVD化されて喜ばしいことですが、油断するとすぐ絶版になるし、本当にDVD化してほしいものがまだなっていなかったりします。『ハンナとその姉妹』も探すのに苦労したし、なぜ『81/2』はDVDにならないのでしょう。
(※)三留まゆみ氏は『ファントム・オブ・パラダイス』のビッグネームファンとして知られるシネマイラストライター。映画好きならこのイラストを目にしたことがあるはず。
amazonでも買えるようですよ。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0001N1LK4/ref%3Dnosim/officek-22/249-2832531-5078769
私も好きです。
「うん、(創作するなら)ここまでやろうよ」という気持ちになります。
ファントム・オブ・パラダイス
「PHANTOM OF THE PARADISE」
ブライアン・デ・パルマ監督のあまりにも有名な映画。
カルト映画として有名と言った方がいいのか?
今さら言うまでもないけど「オペラ座の怪人」を
現代のロック界に置き換えたロック・ミュージカル。
トラックバックしていただき、ありがとうございます。
いきなり自分のブログが引き合いに出されていたのでドキッとしました。
しかも特に思い入れがあったわけでもなく、ごくごく軽い気持ちで書いていたもので…(汗)。
この作品がお好きな方にはスイマセンという感じもしたりして。
でもホント、光栄でございます…。
ちなみに私も、amazonで購入したクチでして。
まだまだ不勉強な私としては、良質な作品がこれからもどんどん安価DVDになることを心から願っています~!
いやいや、作品はその質に相応しい値段で売られるべきでしょう。
荻野さんの「ちょっと複雑な気分」には当然その辺の含みもあると思います。
>ワカナさん
この作品が話題になるだけで、ファンとしてはうれしく思います。
書くきっかけを与えていただき、ありがとうございます。
>徳永さん
媒体化された作品は品質にかかわらず一律価格のことが多いわけですが、もっと差があってもいいのにとは感じますね。999円セールの対象になったということは、初回ロットの在庫処分なのかも知れません。
ファントム・オブ・パラダイス
1975年米作品 監督:ブライアン・デ・パルマ 主演:ポール・ウィリアムズ、ウィリアム・ファンレイおめでとう日本代表!ドイツ行き決定!人生って不公平だな、て感じることが多い今日この頃です。同じことをしても、人によって周りの評価は全く違う。勝っても負けても評…