京都のアトリエ劇研が毎月発行しているポストカード形式の「GEKKEN NEWS」6月号に、fringe blog筆者でもある田辺剛さんがイス導入のことを書かれています。
「心地よい空間を目指して」と題したその文章は、田辺さんが初めてシネマコンプレックスを訪れたときの驚きが書かれており、中でも客席のイスの素晴らしさに「映画館とは思えない」と感じたそうです。そしてアトリエ劇研へ導入されたイスに対し、
シネコンによって多くの人が映画館へ再び足を運ぶことになったように、演劇を観ようと思う人が増えてくれればと思うのです
と期待されています。
シネコンの最大の功績はスクリーン数の増加、つまり「作品を選ぶ楽しみ」を観客に与えたことですが、客席のクオリティも忘れてはならないでしょう。
シネコンが都心ではなく、郊外のショッピングセンター中心に併設されていることは、人々が「映画を観ない」のではなく、「観る機会がなかっただけ」というということを物語っています。映画人口は最初から決まっていたのではありません。大手配給会社のプロフェッショナルでさえ、シネコン以前は誤っていたのです。
観客は、自分たちでつくりだしていくものです。