慶応義塾大学准教授でドラマトゥルクの平田栄一朗氏が、11月25日に『ドラマトゥルク 舞台芸術を進化/深化させる者』(三元社)を上梓した。長島確氏にドラマトゥルクと名乗ることを勧めた、あの平田氏である。
ドイツ演劇研究を専門とする平田氏が、長期取材を踏まえてドイツ演劇界におけるドラマトゥルクの全体像をまとめたもので、こうした体系的な書は日本初ではないかと思われる。制作分野と密接な関わりのあるドラマトゥルク(ドラマターグ)への知見を得るため、制作者もぜひ目を通しておきたい。
慶応義塾大学准教授でドラマトゥルクの平田栄一朗氏が、11月25日に『ドラマトゥルク 舞台芸術を進化/深化させる者』(三元社)を上梓した。長島確氏にドラマトゥルクと名乗ることを勧めた、あの平田氏である。
ドイツ演劇研究を専門とする平田氏が、長期取材を踏まえてドイツ演劇界におけるドラマトゥルクの全体像をまとめたもので、こうした体系的な書は日本初ではないかと思われる。制作分野と密接な関わりのあるドラマトゥルク(ドラマターグ)への知見を得るため、制作者もぜひ目を通しておきたい。
自戒を込めて書きますが、地域演劇の活性化の事業を行っている担当者には、地域の状況を深く洞察し、課題を解決する事業提案と、その事業を適切に執行する能力を持つことが欠かせません。
そのために、担当者には相当の努力・勉強が必要だと思います。他都市の事例についても情報収集し、相対化してその地域の状況を理解することが必要です。
地域の劇団などを実際に活動を行っている人々に広く意見を聞くことも有効でしょう。
このなかでかならずしも、その地域全体のプラスと、個別の劇団のプラスを分けて考えられない人もいるかも知れません。それらの意見を取捨選択する必要もあります。
私は必ずしも、ニーズ調査やヒアリング、アンケート等の手法が必須だとは思いません。直接の目的は各地域の状況に合わせた適切な事業を行うということで、これができているならば、それらの手法はなくても良いかも知れません。
現在、大都市で活躍している表現者やアートマネージャーが地域で活躍する時代が来るとするならば、大都市で培ったネットワークを活用するだけで終わるのではなく、その地域の演劇シーンが真に必要としていることへの分析を絶えず続けて欲しいと思います。
この本は売れているので、ご存知の方も多いだろう。社団法人日本オーケストラ連盟正会員の中で、本拠地の人口が最も少ない山形交響楽団(山響)の音楽監督、飯森範親氏の改革を描いたものだ。飯森氏は映画『おくりびと』出演や『のだめカンタービレ』指揮演技指導でも知られている。
音楽家と言えば、演劇人以上にアーティスト志向が強いイメージがあるが、飯森氏は「音楽家は、サービス業です」と公言し、「だって、どんなに完璧な演奏をしたって、ホールにお客さまがいなかったら意味ないでしょう?」と語る。こうしたポリシーを掲げる指揮者はほとんどいないようだ。そうした思いから生まれる付帯イベント、アウトリーチの数々は、もちろんそのまま演劇にも応用出来るだろう。
劇場法(仮称)の議論について、前提条件の部分でなにか引っ掛かるものがあった。それを言語化すべく、「劇場法(仮称)が総論賛成各論反対になる理由――推進派はここをもっと説明すべき」を書いて以降、ずっと考え続けてきた。言葉が悪いが、やはり現在の議論では民間劇場はないがしろにされてしまうとの思いがあり、公共にしか出来ないことはなにかを突き詰めて考える作業をした。その答えがこの文章である。
『BRUTUS』12月1日号特集「映画監督論」の覆面座談会で、長年アート系映画を手掛けてきた配給会社代表の方が、こう語っている。
これに対してコアな演劇ファンの数を考えたとき、こまばアゴラ劇場の支援会員数が一つの目安になると思う。平田オリザ氏は劇評サイト「ワンダーランド」が2009年に行なったインタビューで、支援会員制度に基づくコアな観客数を400人ぐらいだと答えている。アゴラ界隈で上演されるアーティスティックな作品に足を運ぶ観客数として、体感的にもそれぐらいではないかと思う。
「Yahoo!みんなの検定」に、「小劇場劇団の制作担当者検定」と「小劇場劇団の代表者検定」があったのでやってみた。
検定というよりアンケートのような設問で、どれか一つが絶対正しいと言い切れないものもある。両方の検定にダブって出題されている設問もあった。
私の結果は次のとおり。
荻野さんが書かれた劇場・音楽堂法への考察は、さすがに考えさせるものがあります。民間劇場への配慮など、この時期に考えるべきことは少なくないと再認識しています。
しかし、それでも私は、舞台芸術の地域間格差の緩和こそ急務であり、そのために劇場・音楽堂法の早期の成立を希望する立場です。
ほとんどの劇場・音楽堂法の議論は、大都市の演劇関係者からでてくる意見です。これは有識者のほとんどが大都市にいること、地域での制作専門職の少なさなどからやむを得ないと思います。
私が、早期に劇場・音楽堂法の成立を希望するのは、地域の演劇シーンは砂漠化がすすんでおり、早急な対策が必要と実感しているからです。この砂漠化は進めば進むほど回復が困難です。
劇場法(仮称)に関する演劇界の議論は一巡し、総論賛成各論反対の印象が強い。各論の部分に様々な思いが交錯し、論点が見えにくくなっているように感じる。私個人は5月16日に「劇場法(仮称)に対する私の考え」を記し、劇場法(仮称)の提言自体には賛成を表明したが、合意形成にもっと時間をかけること、民間劇場に対する優遇措置を条件としてきた。この半年間の経緯を踏まえ、私なりに各論部分の問題点を解きほぐしていきたい。