福岡でぽんプラザホールが出来たことは大変いいことだと思いますが、一方、民間劇場のシアターポケットがなくなったことの遠因の一つとしてあげられるかもしれません。
北九州で言えば、北九州芸術劇場が出来たことが、ESTAの存続に影響した部分があるかも知れません。
福岡市内の小劇場についてもうちょっと考えるならば、地域演劇に主力をおく小劇場として
・ぽんプラザホール(市)
・甘棠館(民間)
・アクロス円形小ホール(県)
・あじびホール(市)
が、あります。
これらはいずれも客席数が100前後ということで、けっこうかぶっている面があります。
さらには、近いうちに小劇場扇貝(民間)が開設します。
この5つの小劇場はある程度、差別化するというか、棲み分けをもうちょっと明確にしていったほうが、稼働率も上がるだろうし、それぞれの劇場に「色」ができたほうが、利用する劇団としても、カラーにあわせた劇場選びというものができて、WinーWinの関係が出来るだろうと思います。
しかし、市の劇場、県の劇場、民間劇場とあるなかで、そういうことを考える人がいない。という現状があります。
ポジションからいけば、それをもっとも考えるべきは、福岡市の文化行政担当部門になるのでしょうが、管理の主体がバラバラですから、そこまで踏み込んで考えるのは難しいと思われます。
扇貝が「長期熟成型興行スペース」という劇場の方向性を明確化していることは、福岡の小劇場の棲み分けに対する先見の明をかんじさせます。
去年10月に、ぽんプラザホールの指定管理者選考時に福岡市に提出した提案書では、ぽんプラザの運用だけにとどまらず、福岡の小劇場状況についての考察も延べ、上記の棲み分けへの指針も提案し、ぽんプラザが今後目指すべき方向についての提案を行っているところです。
正直なところ、一指定管理者の立場でこの提言がどれほど力を持つかは、疑問です。
福岡に限らず、他の地域でも複数の小劇場があって、その棲み分けが不明瞭なために、その地域全体にベストの効用を及ぼせていないというケースがあるかも知れません。