この記事は2009年1月に掲載されたものです。
状況が変わったり、リンク先が変わっている可能性があります。



大阪の小劇場の問題点を探してみる

カテゴリー: とある制作の観測的ブログ | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 間屋口克 です。

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はじめまして。大阪で制作をしている間屋口克と申します。
現在はNPO法人 大阪現代舞台芸術協会(DIVE)の理事や精華小劇場・事務局スタッフとして小劇場に関わっています。

「大阪の現状を伝える」ことを目的として、fringe blogに参加させていただくことになりました。
過大な役割ではありますが、これからよろしくお願いいたします。

大阪の小劇場というとよく「危機」や「低迷」などマイナスのイメージで語られがちだと思います。
ところが「どういう危機が起きているのか」「何が原因で低迷しているのか」について語られることは少ないと思います。
また、大阪の演劇関係者にその質問をしても、具体的な共通の答えが返ってくることは少ないです。
個人的には、このことが大阪の小劇場の問題の一端だと思います。

例えば以下のような意見があったとします。

「ぴあ総研の『エンタテインメント白書』を読んでも演劇市場は拡大している。この数字を小劇場とイコールで繋ぐことは難しいがとにかく観劇という行動を行う人はここ数年で極端には減っていない。大阪の小劇場が低迷しているように言われるのは、一時の(関西の)小劇場ブームの時に生まれて現在の第一線で活躍している劇団が年齢などの要因から曲がり角に来ていることから、彼ら彼女らが感じている閉塞感から言われているだけではないのか」

この意見は適当に考えた例であり正しいか間違っているかはおいておきます。(ちょっと極端ですけどね…)
しかし、この意見の正誤を客観的に論じる資料が不足しているのです。
「大阪に劇団はいくつあり、5年前と比べて減っているのか?」
「劇団の平均構成人数や平均年齢はいくつなのか」
「一年間の公演数・観劇人数は増えているのか?」
などの質問に正確に答えられる人はおそらくいないと思います。

そのため、例えば上記の意見に賛成するにせよ反対するにせよ、根拠は自分の周りの状況や何となく感じていること、耳に入ってくる話を総合することになります。そのようにして形成される意見や大阪の小劇場の状況は、視野の狭いものや不正確なものになる恐れがあります。
現場の生の声は非常に大切な要素ですが、声を多様な立場の人から集めたり、統計と重ねて見なければ、自分に声が届く範囲で問題や状況を判断してしまう恐れがあります。

そのため、このブログでは大阪の小劇場の現状を観測して、大阪の小劇場は「低迷しているのか?」「低迷しているとしたらその真因はなにか?」を少しでも正確に把握したいと考えております。

ちょっと抽象的ですね…。

例えば以下のような意見もあったとします。

「大阪の小劇場は危機に瀕している。『芸術創造館の問題』『ウイングフィールドの閉館報道』『精華小劇場の売却報道』『青少年会館の廃止』『-IST零番館の閉鎖』など表現の場所だけ見ても多くの問題が起きている」

これは先程の意見と違ってきちんと事実を捉えていくことで、「現実的に起こっていることは似ていても原因は異なっている」ことがわかると思います。
芸術創造館について数年前にDIVEが意見書を出したのは、指定管理という仕組みへの疑問と以前のスタッフへの処遇への問題意識から。
ウイングフィールドと-IST零番館は民間の劇場の経営が根底にあります。
精華小劇場は大阪市の財政問題、青少年会館は大阪府の方針から存廃が問題になっています。

もちろんさらに問題を掘り下げると再び共通項が出てくる可能性は高いですが、似たような問題でも原因が違えば対処法も異なると思いますので、そこらへんをこのブログでは見つめ直していければと考えております。

本当は上であげたような劇団数の増減や観客数の増減などを、私が計測してこのブログで報告すれば一番いいのでしょうが、残念ながら現状ではそこまでの時間や労力にゆとりがありません…。
(近いうちに手掛けたい野望はありますが)

また、このブログにしても所詮、私の見方に過ぎないので「それは違うんじゃないか」と思うことがあれば、気軽にコメントやトラックバックでご意見をください。

それでは、最初から読みにくく長いブログですいませんが、よろしくお願いいたします。