2006年10月から、こふく劇場(宮崎)の永山氏が宮崎県立芸術劇場演劇ディレクターに就任され、たいへん興味深い活動をしています。
地域での演劇シーンのあり方にたいへん示唆深いものがあります。
まず永山氏は、九州を代表する劇団の一つである「劇団こふく劇場」の主宰であり、劇作家・演出家を兼ねています。AAF戯曲賞の受賞や、地域横断の演劇公演企画「昏睡」(東京国際芸術祭参加)に深く関わるなど、表現者として多彩な活動をしています。
2006年にディレクターに就任されましたが、当初は同劇場のアドバイザーへの就任依頼だったそうです。
これに対し永山氏は、各種企画の責任の所在が不明になることを嫌い、責任の不明瞭なアドバイザーではなく、責任の明確なディレクターならばと回答されたそうです。その後の動きを見るに、これは言った側にも了承した側にもいい決断だったようです。
それ以降の宮崎県立劇場の小劇場系演劇企画の充実は目を見張るばかりです。
傍目からは、かなり思い切った権限が一夜にして与えられているような印象があります。
公共劇場でのこのようなステップアップは、宮崎クラスの県ではじめて可能になったと言えるかも知れません。
たとえば九州の公共劇場の雄と言える北九州芸術劇場では、より運営組織も大きくこのような思い切った人材起用は難しいだろうと思われます。
小劇場系の充実は個人的にたいへんうれしいことです。しかしと同時に、多様な舞台芸術を扱わないといけない(と推測される)同劇場で、小劇場系演劇に重点をおいているように見えることが、県民にどのように評価されるのかが興味深いところです。
興味深いという表現は、傍観的な表現ですが、是が非でも県民の支持も得て成功してもらいたいと強く願っています。宮崎が成功すれば、大都市のない県の地域の演劇人にもかなりの励みとなるはずです。ぜひ宮崎の動きに注目してもらいたいと思います。
ちなみに、本日から「こふく劇場」さんは京都のアトリエ劇研で、新作の公演を行っていて、私も明日見に行く予定です。