先日、佐賀で行われた九州演劇人サミットでは、各地域の表現者から、地域演劇の公演に適した100席から150席の劇場がない。という声を多く聞きました。
大都市をのぞいた地域では共通した問題だろうと推測されます。
また各地域の公共ホールが建設から一定の年数がたち建替を検討している時期に入ってきているようです。民間の劇場がある大都市と違い、民間の劇場がないという地域も少なくないでしょう。このタイミングを逃すとその地域に次に劇場等ができる機会は数十年間ないかもしれません。
この機会を逃す手はないと言えます。
公共ホールの建て替えについて所管する部署に、適切な方法で、ニーズを届ける必要があります。
ここは、行政とのつきあい方が重要な部分です。
まず行政は一部の有識者へのヒアリングは行うものの基本的には、一般市民の目の触れないところで計画をたてます。
このため、地域の細かな実情には目が届かず、大ざっぱな計画となります。
行政の方も市民ニーズに応えたいという思いはあるものの、基本的に素人なので、どこに話を聞いて良いのかわからず、権威性のある大学の先生であったり、市会議員さんに話を聞くことになります。この場合20代、30代の世代のニーズはほぼ届きません。
しかし行政の側も、市民ニーズに応えたいという本能はあるわけです。ですので、地域の表現者が連名で要望書を作成し、それを毎年、恒例行事のように行政の文化担当部署に出し続けることが重要でしょう。
毎年、恒例行事のように出すということが重要です。なぜならば、行政では3年から5年で担当者や担当業務が変わります。通知した事実は一度リセットになると考えた方がいいでしょう。
それと、地域の表現者が連名で要望書をつくるという過程がやはり難しいかも知れません。これができる地域は、地域の実情にあった劇場が出来る確率が高まり、そうでない場合はほとんど皆無になるというだけのことです。
ちなみに、こういう話をしていると、「劇場欲がしいとかいう前に、やるべきことがあるんちゃうん。」とおっしゃる方が必ず出てきます。それは大変素晴らしい意見だと思うのですが、個々の表現への努力と環境の問題は別の問題です。劇団の環境整備についての視野をもっている。という点で言うと制作者こそがこういった地域での動きに先鞭を付けるべきだろうと思います。