高崎さんが「劇場環境の地域格差について思うこと。」を書かれていますが、これには少し異論があります。コメント欄をクローズされているので、こちらに書いておきます。
気持ちはわかりますが、東京が「一歩一歩着実に前進」しているかと言えば決してそうではなく、客席数50席刻みの劇場群があるからといって、その順番どおり劇場を使うことはないでしょう。200席前後の小劇場の次は、400席前後の中劇場です。あいだに300席の劇場をやっておこうなんて、普通は考えないです。
だから、中劇場に慣れていないカンパニーが失敗するのは東京も全く同じです。ただし東京は公演数が多いため、そうした失敗例を目にすることも多く、他山の石になるわけです。地域ではこうした失敗に学ぶ機会が限られるため、中劇場の怖さをリアルに経験出来ないことが、「鬼門」への対応の差になっているのではないでしょうか。
劇場の場合、客席数よりも舞台空間の広さ(間口やタッパ)、舞台と客席の距離に影響を受けるほうが大きいと思います。同じ客席数でも、長方形で舞台と客席最後列が離れている劇場より、馬蹄形で目の前に舞台が迫っている劇場では、距離感が全く違うと思います。後者なら小劇場クラスの舞台美術や演出プランでも成立するかも知れません。
高崎さんが書かれている400席の劇場は西鉄ホールだと思いますが、多目的ホールだけに間口が広く、演劇に使用した場合に力量差が出るのは誰もが認めるところだと思います。福岡の課題は、客席数50席刻みの劇場群がないことではなく、小劇場から進出しやすい演劇専用の中劇場がないということではないでしょうか。その結果、西鉄ホールに適したスタイルのカンパニーしか公演出来ないのではないかと思います。
「小劇場すごろく」は劇場の使い方を学ぶという意味では合理性があると思いますが、それと表現は別だと思います。
ご趣旨の件、たいへんよく分かりました。
荻野さんもご承知のとおり、私の書いたブログの趣旨は適当な劇場の選択肢の少なさや劇場のスキルの地域格差ですのでそこは変わらないのですが、私も東京に住んでいないので、「実態」については、少々誤解のあるところがあると思います。
こういう形でフォローしていただくのは大変ありがたいことです。