この記事は2005年6月に掲載されたものです。
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NODA・MAPは天一ラーメンだ

カテゴリー: fringeのトピック以前 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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乱暴なタイトルで恐縮ですが、私の言いたいことを比喩でまとめるとこうなります。天一ラーメンというのは、京都・白川に本店のある天下一品のことです。いまや全国展開していますので、個性派ラーメンとしてご存知の方も多いと思います。

物事を企画する場合に大切なのは、対象を様々な角度から見ること、切り口を変えるということです。切り口にもいろいろありますが、簡単なのは自分の立場を変えてみる、相手の立場になって考えてみることでしょう。どんなことでも、立場というのは最低3通りはあります。アイデアを100本出そうとして30本で限界だと思っても、残り2通りの立場になれば、3倍の100本は出せます。相手の立場になっただけでは発想が広がらない場合、自分のよく知っているものに例えるとよいと思います。

演劇界では、よく「NODA・MAPしか観ないお客様がいる」と言われます。NODA・MAPの完成度が高いため、わざわざ他の小劇場系を観なくても充分と考えている客層です。なんとかしてこの客層を取り込みたい。それにはどうしたらいいのか……。

普通に制作者の立場で考えていては答えは見つかりません。こんなときは観客の立場で考えるわけですが、演劇ズレしている制作者が初心に戻るのは難しいので、身近なものに例えてみるのです。私にとって、それが天一ラーメンというわけです。

天一独特のこってりスープ(箸が刺さるほどドロドロ)は、最初その食感に驚きますが、はまると禁断症状さえ出てくるほどです。私の学生時代、京都はまだコンビニが出来る前で、深夜に空腹を覚えたときは午前3時まで営業している天一しかありませんでした。男子学生の多くが天一の虜になり、京都で下宿生活を送っていた当時の男子学生たちの身体は、「王将吉野家、天一でつくられている」と言われたものです。いまではスープの原料が「鶏ガラを煮込んだもの」と明らかにされていますが、当時は最大の謎とされ、その製法の秘密を巡って徹夜で議論されるほどでした。

これは決して誇張ではありません。1970年代後半に同志社だった方の「独断と偏愛による『天下一品』概論」のように、当時の男子学生はみんなこれぐらい熱かったのです。神戸で関西アクターズスタジオを開いている同志社出身の石本伎市郎氏など、天一の味が忘れられず、フランチャイズで神戸に3店舗を開いたほどです(その後フランチャイズから独立し、「灘のらーめん伎市郎」になりました)。同志社出身者が多かった神戸製鋼のラガーマンたちも、石本氏の開店を待ち望んでいたと聞きます。

私にとってラーメンとは天一で、その後のラーメンブームも全く興味がありません。いまでは天一も全国に広まり、東京でも京都と遜色ない味が楽しめます(スープが薄い店が散見されるのは残念ですが)。新横浜ラーメン博物館も行ったことはありますが、展示を見ただけでラーメンを食べる気はしませんでした。旅公演先でも、劇団員がご当地ラーメンに走るのを醒めた目で見ていました。

私は天一さえ食べられればいいのです。これって、NODA・MAPしか観ないお客様と全く同じ心理じゃないですか。ということは、どういうシチュエーションなら私が天一以外のラーメンを食べたくなるかを考えて、その戦略を演劇にも応用すればいいわけです。

私なら、NODA・MAPを天一ラーメンに例えればいい。あなたなら、なにに例えますか。それが強烈なものほど、答えは見つかるはずです。


NODA・MAPは天一ラーメンだ」への2件のフィードバック

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