fringeブログでこういうことを書いていいものかどうなのか迷いましたが、もしかしたら、ちょっとすごい作品なのではないかと思い、ブログを書いています。
2/13,14に、東京の王子小劇場で演劇ユニットそめごころというカンパニーが公演を行います。
このカンパニーは旗揚げ3年目、平均年齢が23歳のカンパニーです。
脚本の石田聖也はせんだい短編戯曲賞の最終選考に残り、俳優の田島宏人は2年前に名古屋学生演劇祭にて俳優賞を受賞するなど、福岡で注目を集めています。
当初は1月下旬にシアターねこ(愛媛)、3月末からぽんプラザホール(福岡)だけでの公演だったのですが、公演まで一ヶ月を切ってから王子小劇場での公演が急遽決定しました。
王子小劇場にドタキャンが入り、急遽公演できるカンパニーを全国的に探されたようです。この努力には頭が下がります。そして、初の県外本公演が、このような形でボリュームアップするというところから、少しドラマのにおいがします。
このカンパニーの公演を松山まで見に行ったのですが、とても興味深い作品でした。
観劇中2度ほど落涙し、個人的には大絶賛なのですが、できるかぎり冷静に伝えたいと思います。
この作品の特徴は、通常の公演とは異なった変則的な構成でありながら、演劇的にしっかりと成立しているように見えたことです。
ストーリーとしては、浅間山荘事件をモチーフにしておりますが、客席の中に
演出席があり本番の途中で、演出家が立ち上がって、舞台の役者にダメ出しをしたり
します。
このような構成の作品は、演劇作品として成立させることが難しいと思うのですが、この作品は演劇作品として高いレベルで成立し、その手法にも必然性があるように思えました。
あさま山荘事件以外にも、世界的な事件が題材とされています。
しかしながら、そのような問題は24 歳の劇作家石田聖也の個人的な心象風景から立ち上げられており、個人、劇場、社会、演劇というテーマを見事に切り取っているように見えました。
他にも多重的なプロットが用意されており、変則的な構成と合わせて、最終的には演劇作品として高度の成立をしているという印象です。
ドラマ・ストーリーメインの作品ではないので、10人中10人が面白いというわけではないのかもしれません。
芝居を見慣れている人だと、この比率はより高まるかもしれません。チェルフィッチュや地点を始めてみた時の驚きに近いものがありました。
最先端のものが集まる東京で、この手法がどこまで新しいのかはわかりませんが、私が九州で見てきた作品の中で、もっとも東京公演をしてほしい作品です。
fringeフログで特定の作品のPRをするのはいかがなものかと思いましたが、地域から出てきた演劇で、これは「事件」と呼ばれる可能性があるなと思います。
当日は、私も受付にいる予定です。
TPAMの裏にはなりますが、80分の作品を堪能いただき、感想などきかせていただければ幸いです。