話題の公演、Oi-SCALE/僕AREA←Spectators[B.A.S.]プロデュース『ヒミズ』を観ました。内容に関しては、原作の愛読者かどうか、コミックスの戯曲化をどう考えるかで、評価はかなり割れると思います。ウェブログにも考えさせられるレビューが上がっていますので、検索してみてください。
私が指摘しておきたいのは、なぜ会場をラフォーレミュージアム原宿にしたかということ。Oi-SCALEは、これまでビプランシアター(キャパ116名、2003年2月閉館)、明石スタジオ(キャパ120名)でしか公演しておらず、今回が初めての中劇場(コンサート形式でキャパ306名)になります。しかもラフォーレは固定席のないイベントフロアですから、全席指定は相当のオペレーション能力が問われます。
この経験不足を補うために、ネルケプランニングが制作協力に入っているのだと思っていましたが、残念ながら初日(5/28)は受付、誘導、案内などが遅れ気味で、開演が15分押しになりました。ダメ出ししたいところが数多くありますが、いちばんの課題は予約客の処理だと感じました。
小劇場と同じ感覚で受付をしていると、中劇場のキャパだと長蛇の列になり、他テナントの営業妨害になりかねません。中劇場でやるなら、本来は受付を介さないで(もぎりだけで)入場させなければなりません。当日精算で現金のやりとりをしていたら、時間がいくらあっても足りません。チケットは前売券に徹する、精算が生じるものは別の方法を考える、招待券も探さないですぐ出せるようにしておくなど、あらゆる手を講じて中劇場の受付は初めて可能なのです。
全席指定だからといって、予約客や招待客に最初から座席を割り振っておく必要はありません。そんなことをするから、チケットを探すのにまごつくのです。予約客や招待客はエリアだけを決めておき、あとは来場順にチケットを束から渡していけば、半分以下のスピードで処理出来るでしょう。
ラフォーレでやりたい気持ちはわかりますが、観やすさや導線の確保などを考えると、綿密なプランニングが要求される会場です。それでもやるというのなら、制作面でも当日精算は全廃するぐらいの周到な準備が必要だったと思います。カンパニーが小劇場から中劇場に進出する際、どうしても作品内容ばかりに頭が行きがちですが、票券管理も比例して進歩しなければなりません。
このような企画を実現させたことは、もちろん評価に値します。けれど、ラフォーレでやること自体がスゴイのではなく、ラフォーレでやるのならそれだけの制作能力も問われることを、Oi-SCALEには自覚してほしいと思います。
Oi-SCALE/僕 AREA←Spectators[B.A.S.]『ヒミズ』 @ラフォーレミュージアム原宿
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