この記事は2004年5月に掲載されたものです。
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敢えて日記には書かない

カテゴリー: fringeのトピック以前 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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演劇関係の日記やウェブログを巡回していると、やたら「飲み」の記述が目につきます。まあ、演劇に酒は付き物だからな。演劇人同士が飲んでいるのはいいでしょう。これも表現活動の一部ですからね。私が「ちょっと待てよ」と思うのは、観客の方が上演後に飲み会に参加したことを、そのまま書いているような場合です。

初日乾杯だったり、劇場でそのまま催される宴会だったり、打ち上げだったり、内容は様々ですが、一般の観客にとって「飲み」に参加する観客というのは、やはり特別な存在です。その集団と付き合いがあって「飲み」に参加すること自体は結構ですが、それを誰もが読めるネット上に書いてしまうと、〈身内客〉の存在を強調してしまうことにならないでしょうか。

どんな集団にも〈身内客〉はいて当然ですが、自分が〈身内客待遇〉であることを意識して、伏せるべきことは伏せるのが粋な計らいではないかと思います。趣味の劇団の発表会と割り切っているのなら別ですが、カンパニーとして表現の道を歩んでいる集団なら、観客とはニュートラルな関係を演出すべきです。その集団を本当に応援したいと思うのなら、観客も敢えて〈身内客〉としての記述は控えるべきでしょう。

小劇場演劇がコアなフリークたちに育てられていることは、私は誰よりも知っているつもりです。ただ、ネットがこれだけ発達している以上、日記やウェブログの記述も集団のイメージに影響します。演劇の間口を広げたいなら、観客の方にも意識を望みます。