この記事は2004年3月に掲載されたものです。
状況が変わったり、リンク先が変わっている可能性があります。



鈴江俊郎氏のポストトーク

カテゴリー: fringeのトピック以前 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

Pocket

東京国際芸術祭2004リージョナルシアター・シリーズ5周年特別企画『国道、書類、風呂桶。』(3/6~3/7、東京芸術劇場小ホール2)のポストパフォーマンストークが実に興味深いものでした。

3月6日のソワレ終了後に行なわれたトークには、短編2本の劇作家・演出家4名が顔を揃えたのですが、『いちごの沈黙。』を執筆した鈴江俊郎氏(劇団八時半)が観劇した感想を求められ、はっきり失敗作と言い切ったのです。役者陣の発声が残響の多い劇場に対応していないし、はせひろいち氏(劇団ジャブジャブサーキット)の演出も大いに不満とのことでした。本当はチケット代を全額返却したいくらいだったそうです。

鈴江氏本人も冒頭に断わっていましたが、ポストトークと言えば普通は作品を評価するコメントが飛び交うもの。しかし彼は歯に衣着せぬ性格で、ダメなときは容赦なく切り捨てることで京都では有名だとか。主催者側もそれを承知で起用したのだろうから、言わせてもらおうということになったようです。

私は鈴江氏と論争した経験もありますし、彼を評価出来ない部分もありますが、こうした「物事をはっきり言う」姿勢は昔から刮目に値すると感じています。驚いた観客も多かったと思いますが、身内だけの酒の席では演劇人もこれくらいの気を吐いているはずで、その意味では裏表のない実直な人物だと思います。みんな「鈴江節が炸裂」とか言うけれど、表現に懸ける者なら誰もがこれくらいの発言をしても不思議ではないでしょう。

一つ主催者側に苦言を呈したいのは、ポストトーク最後の観客からの質問コーナーで、主催者側と思える方がその場をとりなすような発言をされ、「あとは打ち上げで聞きましょう」と言われたことです。名乗らなかったのでどなたかわかりませんでしたが、ポストトークの場で「打ち上げで聞きましょう」という発言をするのは、一般の観客に対して失礼ではないでしょうか。お偉いさんなのかも知れませんが、身内意識が感じられ、私ならイエローカードです。司会をされた地域創造の宮地俊江ディレクターも、ツッコミを入れてほしかったと思います。