彩の国さいたま芸術劇場で上演されているシェイクスピア作・蜷川幸雄演出『タイタス・アンドロニカス』を観に行ってきました。
劇場に入るとまず、ロビーに所狭しと衣装や小道具類が飾られて(着替えやすいように置かれて)いるのが目に入ります。そして、ちゃんと衣装を着てヘアメイクをした俳優さんが舞台上や劇場内をうろうろしています。それぞれに声出しをしながら。
うわーっ素敵ーっっ!ヘタすると触れる!(←触っちゃダメです)
私は嬉しくってもー、食い入るように隅々まで見せていただきました。小峰リリーさん(衣装)のお仕事をこんなに間近で見られるなんて幸せ♪
すると、マイクでしゃべる男の人の声が劇場に響いています。客席に行ってみると、舞台には全身白系の衣装の役者達の中にぽつりと一人、黒い上下を着た男性がいらっしゃいました。マイクで色々指示を出されているようです。
「お客様、今公演では客席通路を出演者が通りますので、
お荷物などはお足元に置いてくださいますようお願いいたしまーす。」
「はい5分前でーす。役者さん、シーン1の配置についてくださーい。」
役者全員「はいっ」「おぃっ」等。
「さ、いこっか、よし、いくよーっ。」の声で静かにすばやく暗転したかと思うと、
突然然真っ白な照明で明転。いきなりお芝居が始まりました。
かっこいーっ!あの黒い服の人は誰?舞台監督さんかしら?
舞台には真っ白の巨大な壁が2枚、舞台の両袖にそびえ立っているのですが、袖幕と壁の間が少し開いていて、壁に付いているドアを開閉するスタッフさんがスタンバイしているのが丸見えなんです。また、めちゃくちゃ大きな獅子のオブジェや沢山のハスの葉が出てくるのですが、舞台も衣装もオブジェも全部が純白色なので、黒いスタッフさんがそれらのオブジェを動かすと暗転中でも必ず目に入っちゃうんですよ。
つまり、お芝居と平行してスタッフさんの活躍も観ているような状態でした。舞台芸術って、出演している役者さんの他にも、こんなに多くの人が働いてはじめて成立するんだなって、ダイレクトに伝わってきました。
いったいなぜ、わざわざこんな演出に??と思っていたら、なんと折込チラシの中にニナガワカンパニー・ダッシュの「ACTOR・STAFF募集」のチラシが!なるほど~!
手際よくシャキシャキ働くスタッフさんたちは舞台上で輝いていました。客席を声出しをしながら練り歩いていた役者さんも、舞台の外での顔を見せることによって1つのプロフェッショナルな仕事をしているんだなって感じられました。初めてお芝居を見た人が「私もやってみようかな」という気持ちになれるほど、この舞台を作っている人たちはかっこ良かったです。募集資格は“年齢・経験不問”でした。
実はお芝居自体が残虐非道なエログロ復讐ものなので、「これはお芝居ですよ~」という姿勢を見せることで、観客があまりの衝撃に卒倒しちゃうのを防ぐ効果にもなっているんですけどね。そしてオーディション受験料は一人10,000円。うーむ、ニナガワカンパニー・ダッシュ、すごい。
舞台上にいた黒服の人は蜷川さんです。
えっと、残念ながら私が観た回は、若い男性でした。
shigeさんの回は蜷川さんだったんですか?
ぜひぜひその回に行きたかったな~。
そうだったんですか。失礼しました。