この記事は2007年11月に掲載されたものです。
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劇団方南ぐみ広島公演

カテゴリー: fringeのトピック以前 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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劇団方南ぐみが解散しましたが、このカンパニーについて書いておかなければならないことがあります。今年1月16日の『あたっくNo.1』広島公演(呉市民会館、キャパ878名)です。

カンパニーの代表作を持って初の旅公演(大阪、広島)、しかも広島は物語の舞台になった呉市を選び、応募抽選招待制としました。作・演出の樫田正剛氏が潜水艦イ18号乗組員だった叔父の日記を元にした作品で、呉軍港から出発した真珠湾攻撃と特殊潜航艇の秘話を描いています。当然ながら大きな赤字になったと思いますが、やることの意義を取られたとのことです。

観劇慣れしていない年配客中心の客席で問題もあったようですが、最後はダブルのカーテンコールやスタンディングオベーションが起こったそうです。

小劇場系カンパニーが作品由来の土地で上演するのは、演劇集団キャラメルボックス『また逢おうと竜馬は言った』高知公演(1995年)、劇団タコあし電源『舞台|阪神淡路大震災』神戸・西宮公演(2005年)、風琴工房『砂漠の音階』札幌・東川公演公演(2007年)などがありますが、手打ちで全員無料招待はこれが初めてではないかと思います。

解散の報に接したとき、この無料公演の赤字も頭をよぎりましたが、どんな事情があったにせよ、意思を貫いて広島公演を実現させた彼らの志は記録しておきたいと思います。