「CoRich舞台芸術!」が映画『曲がれ!スプーン』をデータ登録したことについて、劇評ブログ「休むに似たり。」を主宰するかわひ_氏が、掲示板などで疑問を呈している。
小劇場関係者が多数関わる映画として、「CoRich舞台芸術!」が応援するのは構わないが、それを「CoRich舞台芸術!」のデータベースに収録してしまうのはいかがなものか、という指摘だ。これは私も全く同感。映画を応援するため、特設ページで特集したり、バナー広告を掲載するのはいい。もっと映画とコラボして、サイトのデザインを喫茶店風に買えたり、アイコンをスプーンにしてもいいくらいだ。けれど、「CoRich舞台芸術!」の中身のデータとして映画を登録してしまうのは、意味が全く異なる。CoRich運営事務局は、
と回答しているが、応援することとデータベースの定義は別だ。かわひ_氏はプロモーションの手法に違和感を感じているようだが、私はもっと純粋に「CoRich舞台芸術!」というデータベースの信頼性が揺らぐのではないか、と懸念している。
今回のように恣意的な例外を設けると、データベースとしての定義が曖昧になってしまう。掲示板でも常連の☆さやか☆氏が指摘しているが、今後同様に小劇場関係者が関わる映画があった場合、データベースに登録してもいいのだろうか。それとも、映画『曲がれ!スプーン』だけを例外として残し続けるのだろうか。いずれにしても線引きに主観が入ることになり、データベースの客観的な運営が困難になる。CoRich運営事務局は「『CoRich舞台芸術!』ってなに?」の中で、
各ステージがその日、その瞬間だけのかけがえのない“宝物”。
CoRichは、そんな特別な時間をもっと手軽に、もっと身近に、
観客の皆さんや作り手の皆さんと一緒に楽しんでいきたいと思っています!
と明記しており、ライブであることが舞台芸術の定義であることがわかる。ならば、ライブの舞台芸術として充実したデータベースを提供することが、第一義の運営理念ではないだろうか。ライブという条件を曖昧にしてしまっては、将来に禍根を残すのではないか。
今回は試写会プレゼントと連動させ、「観たい!」「観てきた!」機能を広める思惑もあるのだろうが、その場合もデータベース本体に登録しないで、映画『曲がれ!スプーン』用に別のデータベースを一時的に設けるなど、いくらでもシステム上の工夫は出来たと思う。既存のデータベース本体に入れてしまうのは早計だと思う。
また、CoRich運営事務局が本当に「全国の舞台芸術を盛り上げたい!」と考えるのなら、映画『曲がれ!スプーン』は小劇場に興味を持ってもらうきっかけになるので、すでに小劇場ファンがアクセスしている「CoRich舞台芸術!」だけでなく、こりっち株式会社が運営する他サイトでこそ宣伝していただきたい。同じF1層をターゲットとする「CoRichトラベル!」や「ウェディングボイス」にこそ、広告バナーを貼っていただきたい。
私も映画『曲がれ!スプーン』は多くの人が観て、ここから小劇場に足を運んでもらいたいと願っているが、それと舞台芸術のデータベースに映画を登録することは別である。いまからでもデータベースを分けてほしいと思う。