『新建築』7月号に載っているまつもと市民芸術館の舞台機構を見て驚愕しました。
この主ホール(最大1,800名)は田の字型の四面舞台を持つのですが、なんと後舞台にロールバック客席(400名)が収納されています。こちらの平面図の後舞台にある「ロールバック式客席」がそれ。この壁に小ホールでよく見られる階段式客席が収納されているのです。同館では、このロールバック客席部分を「実験劇場」と呼んでいます。
これを引き出せば、通常の客席との二方客席にも出来ますし、青年団などでお馴染みの「舞台上仮設舞台」も簡単です。同館には小ホール(240名)も別にあるのですが、小規模の作品をするときに、この「実験劇場」は最適だと思います。大ホールと呼ばずに、敢えて主ホールとしていることからもお気づきかと思いますが、主ホールは客席機構を駆使することで、大中小すべてのキャパシティに対応出来るのです。この点は設計概要に詳細に書かれています。
『新建築』で完成した劇場内部の写真を見ると圧巻です。特にロールバック客席を引き出したところを本来の客席側から見た構図は必見です。舞台上にロールバック客席を持つ劇場って、ほかにあるんでしょうか。私は初耳です。演劇関係者ならずとも感動する劇場機構ですし、全国に誇れる施設だと思います。
サイトにもこうした写真を掲載して、その素晴らしさを訴えればいいと思いますが、住民から建設見直し運動が起き、訴訟にもなったことから控えているんでしょうか。素晴らしい設備を持ちながら、それが充分に説明されていない公共施設が全国に多すぎると思います。パンフなんかに載せてもダメですよ。サイトに載せなきゃ。
同館の設計は、せんだいメディアテークで知られる伊東豊雄氏です。せんだいメディアテークのサイトはなかなかいいですね。「施設総合案内」では、トイレや荷解室まで紹介しています。税金で建てた施設なら、ここまでやってほしいものです。
100エントリーおめでとう(?)ございます。
「まつもと市民芸術館」一度は訪れたいと思いました。
カンパニーも招へいの機会を得るべく資料を送ると良いですね。