この記事は2011年10月に掲載されたものです。
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創客よりも創表現者

カテゴリー: さくてき博多一本締め | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 高崎大志 です。

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地域の公共劇場の活動が充実してきています。
これは、今の日本の舞台芸術シーンでもっとも重要な課題の一つである中央一極集中の緩和に直結することで、素晴らしいことだと理解しています。

これらの公共劇場の活動は多くの人が評価するところだと思いますが、地域の人材をコアにおいて優れた作品を創り世に問う。という目的があるならば、その目的からは少し遠ざかっているようにも思えます。

地域の公共劇場の役割としてもっとも重要と思われる鑑賞事業、アウトリーチなどでは充実した活動を行い、創客にも成功している例は耳にします。また地域発の作品に取り組む劇場もあります。しかし、地域の表現者の育成で明確な成果を出した例をまだ聞きません。

演劇鑑賞を地域の住民の日常的な選択肢にするということは大切な事であり、その困難さを克服しようとする努力に頭が下がります。
しかしながら、鑑賞事業、アウトリーチ、創客と同じように大切なことは地域の表現者(特に脚本・演出家)を育成することです。

脚本・演出家の才能を東京に依存している現状は、10年かかると思いますが、変革していかなければならない現状です。優れた表現者を育成することは、創客よりも時間がかかり明確な成果もすぐには見えにくい分野です。

特に優れた劇場・音楽堂からの創造発信事業における重点支援劇場、地域の中核劇場の採択を受けた劇場には、地域の表現者人材を育成するという事業を重視してもらいたいと思います。