この記事は2011年9月に掲載されたものです。
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多様性がないと文化は育たない

カテゴリー: フリンジのリフジン | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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サラダボール主宰で、四国学院大学(香川県善通寺市)に今春出来た演劇コース(身体表現と舞台芸術マネジメント・メジャー)の助教を務めている西村和宏氏が、個人ブログで映画『ゴーストライター』が香川県で上演されていないことを嘆いていた。

全くそのとおりで、この映画は今年のベストワンに推す評論家が多いにもかかわらず、上映館が少ない。東京でもテアトルシネマグループの数館のみだ。いくらロマン・ポランスキー監督が旬ではないとはいえ、この扱いはないだろう。私も愕然とした。

西村氏も書かれているとおり、香川県にはワーナー・マイカル・シネマズが3館あるが、それ以外の映画館は淘汰されて一つだけになってしまった。スクリーン数だけで比較すれば、私が中高生時代に住んでいたころより増えていると思うが、シネコンしか選択の余地がないというのは寂しい。経済的には大変だと思うが、チェーン店ではないローカルな専門店をどれだけ維持出来るかが地域のポテンシャルだと思うし、その選択の中で人は自分のアンテナを磨いていくのだと思う。

東京の小劇場は多すぎて逆に弊害があると思うが、その余力をもっと全国に広めることは出来ないか。劇場法(仮称)による東京の演劇人の出稼ぎを私は警戒しているが、西村氏のように、地元に縁の深い方が腰を据えて打ち込んでくださるのなら、心から応援したいと思う。

西村氏はこう記している。

経済格差より、文化格差のほうが、東京と地域だと広がっている気がする。
マックやケンタッキーやスターバックスがいくら増えたって、
いい映画館や、いい劇場や、いい美術館がないところには未来がない気がするな。

香川県は、「いい美術館」は複数あって、全国から人を集めている。ハコとしての「いい劇場」はあるけれど、まだまだ活用されていないように思う。あなたの力で、「いい劇場」に育ててほしい。