この記事は2006年10月に掲載されたものです。
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「現代の肖像」北村明子氏

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●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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NODA・MAPシス・カンパニーの北村明子プロデューサーを取り上げた『AERA』10月9日号「現代の肖像」は、制作者なら目を通しておいたほうがいいでしょう。見逃した方は図書館に行けばあると思います。

6ページに渡る長文の人物記で、その制作スタイル、営業とマネジメントの実態を、所属俳優やスタッフの証言を交えながら綴っています。もちろん、女優だった北村氏の転機となる夢の遊眠社との出会いは、充分に紙幅を割いています。演劇人なら知らない者はいない北村氏ですが、この記事で初めて知るエピソードもあるのでは。

野田秀樹氏に戯曲を催促出来た唯一の制作者。年間200本の舞台を観て共演者をプレゼン。人材を育てるための先行投資はするが赤字にしない。社員に待遇と福利厚生を保証するが接待は厳禁。テレビでは脇役に徹し、堤真一氏にさえ主役をさせない……。北村氏の信念が伝わる記述が随所に散りばめられています。

舞台とマスコミの両立、際立ったマネジメントの才覚に力点が置かれていて、もう少し舞台制作そのものについて触れてほしかった気もしますが、小劇場系カンパニーが食べる道を切り開いた手腕がリアルに伝わってきます。筆者は、ジェンダーをテーマに演劇関連の執筆も多い島崎今日子氏。生い立ちから波乱に満ちた20代の描写が読ませます。

メジャーリーグの笹部博司プロデューサー曰く、「冷酷で計算高いくせに情にもろい、アナーキーで現実主義者なのにロマンチスト」だそうです。

(2009年10月19日追記)

島崎今日子氏の取材・文による北村明子氏の「語りおろし」が小学館101新書から出ました。

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