全公演を劇場がプロデュースする こまばアゴラ劇場（以下、アゴラ劇場）が、劇場の支援会員制度を始めて四年目に入りました。そろそろ「アゴラってすごいよね」という噂が、作り手の側にも観客の側にも浸透し始めている気がします。
　支援会員制度は観客向けのサービスだと受け取められがちですが、実は作り手にとっても利用しない手はないシステムなのです。特に一口５万円で50枚のチケット引換券がもらえる法人会員は超おトク！

　法人会員の特典と料金は下記のとおりです。

　一口５万円ですので、劇団員が10人いれば一人5000円ずつの負担で良いのです。５枚のチケット引換券で５作品見られるわけですから、１公演1000円！年間最大60本以上のラインナップを見れば、その充実度は一目瞭然です。親しい劇団の公演を観に行くことも考えれば、今から来年の３月までにたったの５枚なんて足りないぐらいでしょう。

　アゴラ劇場とアトリエ春風舎以外での青年団公演も、チケット引換券２枚（2000円）で観られます（例外あり）。たとえば５月に紀伊国屋サザンシアターで上演される『上野動物園再々々襲撃』は、一般料金4000円が2000円に！

　また、引換チケットについてサラリと（譲渡可）と書かれていますが、これはものすごく融通の利くシステムです。自分のチケットを友達に譲ることができるのです。「1000円だから」といえば演劇ファンでないお友達も誘いやすいですよね。作り手側の人々にとっては交友関係ゆえの観劇出費が大幅に軽減されますし、ステージが決まっている前売り券ではないので（それどころか公演も選べる）、スケジュールも縛られません。

　そして、アゴラ劇場が劇団の広報にも一役買ってくれるのです。もう一度部分引用します↓

　アゴラ劇場発行のチラシ束は少し大きめの演劇公演なら必ずといっていいほど折り込まれています。そしてアゴラ劇場のロビーで劇団名が掲出されれば、観客および目の肥えた支援会員の目に触れる機会が増大します。
　これは特典には明記されていないのですが、アゴラ劇場公式サイトのトップページにも法人名が記載され、ホームページがある場合はリンクも貼ってもらえるようです。今のところ劇団では佐藤治彦さんが主宰する演劇ユニット 経済とHだけですね。早い方が目立ちますよ！

　作品の質の高さもさることながら、先日上演された支援会員限定プレミアム公演の第１弾『んぐまーま』では、劇場が提唱する「質の良い顧客」が集まっていたように感じました。密度の高い劇場空間を体験することは、若い演劇人にとって特に必要だと思います。『んぐまーま』は大変好評ですぐ満員になっていたようですから、きっと第２弾、第３弾もあるでしょう。会員になっていれば観られます。

　演劇関係者向けに書きましたが、観客にとってももちろん有益な制度です。アゴラ劇場とアトリエ春風舎の作品ならいつでも、何でも、予約さえすれば1000円で観られるチケット引換券は、一度使ってみればその便利さ、お得さがわかると思います。

　※法人会員の予約の仕方は、劇団によって対応に差があって戸惑うことがありました（昨年度以前の私の経験より）。アゴラ劇場のスタッフの方々には、そのあたりの品質管理をぜひお願いしたいですね。