この記事は2005年7月に掲載されたものです。
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タテヨコ企画の道案内と地図

カテゴリー: fringeのトピック以前 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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タテヨコ企画が実際の幼稚園(文化教養学園・幼稚園部)を使って上演した『スクスク』を拝見しました。最寄りの地下鉄半蔵門線・新宿線「住吉駅」から徒歩約12分という場所で、多くの観客が初めて行く場所だったと思います。

公式サイトでもナビゲーションのページを特設し、夜はランドマークがほとんどないということで、夜でも識別出来る建物も紹介しています。私が訪れた日(7/7ソワレ)は、途中で道案内のスタッフが2名立っていました。

しかし、やはりわかりにくい。このような未知の場所を案内する方法として、私が感じたことを挙げておきます。イベント公演における会場案内の重要性は、劇場公演とは比べ物になりません。その意味で詳細に指摘したいと思います。

以下、ナビゲーションのページを開きながらお読みください。

●道案内スタッフ

私が訪れた日は、地下鉄のB1出口を出たところと、途中の小名木川橋のところに、チラシを掲げたスタッフがいました。暗がりに佇んでいるだけなので、あまり目立ちません。大きく拡大コピーしたプラカードを掲げるとか、懐中電灯で照らすとか、声を出すとか、その瞬間にその場にいるスタッフとして、もっと出来ることがあったのではないでしょうか。

スタッフを立たせる場所も、別のほうがよいと思いました。B1出口を出たら右というのは、最初ですから誰でも注意を払っています。2名しかいないスタッフをここで使うのはもったいない。小名木川橋に至っては、なぜここにいたのか不明です。けっこう広い川なので、夜でも橋はわかります。ここに立つ必要はないでしょう。

もし2名立たせるとしたら、次に右折しなければならない交番の前と、幼稚園の手前だと思います。どちらも通り過ぎると取り返しがつかない地点で、そういうところにこそスタッフを配置すべきだと思います。交番=わかりやすいわけではなく、地味な小さな交番は見過ごす可能性があります。危婦人のハルテロコさんは幼稚園を通り過ぎ、40分さまよったそうです。

●地図がわかりにくい

ナビゲーションのページは一見詳細に書かれていて、安心感があります。「これを印刷していけば大丈夫だろう」と思いがちですが、そこに大きな落とし穴があります。詳しそうに書かれているからこそ、逆に罪深いのです。

1.途中の横道が省略されている。
2.道幅がすべて均等に書かれている。
3.幼稚園のある通りが商店街であることが書かれていない。

1は詳細に見えるがための矛盾です。ランドマークがないと、人は「何本目の筋を右へ」と考えたりします。横道が省略されているとこれが出来ません。店がこれだけ詳しく載っているのなら、横道もすべて書かれているだろうと思ってしまいます。

2は、なぜ大通りの清洲橋通りを太く書かないのか。なぜ幼稚園のある商店街を細めに書かないのか。細く書かれていると、それだけは人は慎重になり、注意深く歩きます。チラシに掲載されたこちらの地図は道の太さを変えていますが、印刷して持参するナビゲーションのページこそ、そうした点に神経を遣うべきだと思います。

3も重要です。この幼稚園は商店街の中にあるんですね。商店街の中を進むことをはっきり書いてもらわないと、非常に不安になります。地図上では、幼稚園の面した通りは美術館通りになっています。美術館通りと商店街というのは、頭の中で直結しません。しかも、都立現代美術館が近くに描かれていますが、実際には幼稚園は交番と美術館のほぼ中間点です。

ナビゲーションのページは、途中の店を写真入りで紹介していますが、それよりもまず基本的な道の太さや信号の有無、商店街の中にあることをなぜ書かなかったのでしょう。夜でも確実な案内は、「大通りを渡って二つ目の信号を右へ」などの表現ではないかと思うのですが。

●幼稚園の特殊な立地を説明していない

くり返しになりますが、文化教養学園・幼稚園部は商店街の中にあります。道に面した間口が狭く、道を歩いていると唐突に現われます。私たちが幼稚園と聞いて思い浮かべる、園庭があってそれなりの間口がある施設とは印象が違います。そうした重要な説明を書くべきだと思います。私なら、はっきりこう書きます。

【ご注意】文化教養学園・幼稚園部は商店街の中にあり、道に面した間口は狭くなっています。一般的な学校などをイメージして歩くと通り過ぎる危険があり、進行方向左側に注意してお進みください。歩道橋のある大通りまで出てしまうと行き過ぎです。

実際の幼稚園を使っての公演という挑戦は評価しますし、フロントスタッフの接客も非常に丁寧だったと思います。ですから、なおさらナビゲーションの中途半端さが気になりました。店の紹介を不要とは思いませんが、開演前に道を急ぐ観客にとって必要なのは、直感的にわかる案内です。

私の場合、明らかに差し入れと思える包みを持った人が前を歩いてくれたので、道に迷うことはありませんでした。これがもし一人なら、幼稚園を通り過ぎる可能性があったと思います。


タテヨコ企画の道案内と地図」への3件のフィードバック

  1. たにせみき

    案内地図でいつも思うのが、駅を基点にした説明でも、進行方向を「下方に」書かれると、歩きながら目で追うのが非常に困難なことです。
    「北が上」というのを守るせいでしょうか?
    出発地点が複数ならともかく、案内の順序がある地図は「進行方向を上方に」して欲しいと思ってますが・・・。

  2. #10

     私の場合、こういうデフォルメされた地図は使わず普通の地図で場所を確認して行くようにしています。デフォルメされた地図はちょっとでも正解ルートから外れると自分の位置を確認することもできなくなるからです。
     デフォルメ地図と普通の地図を対応させるのは難しい場合も多いのですが、所在地が書いてあればネットの地図サイトで特定できます。だからチラシなどには地図だけでなく所在地を書いて欲しいのですが、けっこう書いてない場合がありますね。

  3. 藤崎成益

    タテヨコ企画の藤崎と申します。
    劇団のホームページ作成を担当しております。

    もうすでに、だいぶ時間のたってからの書き込みですが、このように取り上げていただいたとは知らず、失礼いたしました。また、貴重なご意見をありがとうございます。

    実際に利用する方が分かりやすいようにとナビゲーションのページを作ったのですが、かえって混乱を招いていたようで、お詫びのしようもありません。

    今後、このようなことのないよう、ご意見を参考にさせていただき、よりわかりやすいページ作りを目指したいと思います。

    長文失礼しました。
    今後ともよろしくお願いします。

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