この記事は2009年7月に掲載されたものです。
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大竹野正典さん、逝く

カテゴリー: フリンジのリフジン | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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大阪でくじら企画を主宰する大竹野正典さんが、海で事故に遭われた。最初は会社員の事故として報道されていたが、劇作家・演出家として毎日新聞が訃報を打った。

毎日.jp「訃報:大竹野正典さん 48歳=劇作家、演出家/大阪」
http://mainichi.jp/area/osaka/news/20090722ddlk27060319000c.html

それはそうだろう。故人を紹介するなら、演劇人としての記述が欠かせないはずだ。このことは、後藤ひろひと氏がブログで力説している。

くじら企画の前身である犬の事ム所時代、大阪のスペースゼロで遊気舎は大竹野さんにずいぶんお世話になった。後藤氏も記しているが、大竹野さんは初期の遊気舎に客演してくださったのだ。作風で言えば両極とも思える相手なのに、冷ややかな視線を送る演劇人もいる中、俳優ではないのに出ていただいた大竹野さんの包容力に、私たちは畏敬の念を覚えた。

スペースゼロ演劇賞の記録を見るとわかるが、第1回~第3回まで大賞は犬の事ム所が独占し、その実力は抜きん出ていた。あまりの完成度に、第5回は特別賞として別格扱いになった。演劇コラムニストの中西理氏は、「東京の知人に一度は見せたい劇団ナンバー1」「いずれもがその年のベストアクトに選んだほどの好舞台」と評している。

生活と両立させる道を歩まれたのだと思うが、もっと作品が注目されていたなら、その名は全国に響き渡っていただろう。間違いなく、関西を代表する劇作家・演出家だった。ご冥福をお祈りする。