この記事は2006年12月に掲載されたものです。
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横山仁一氏の川崎フロンターレ問題

カテゴリー: fringeのトピック以前 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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演劇人の個人的問題なので、[トピック]ではなくこちらに書きます。

ネットで騒がれたのでご存知の方も多いと思いますが、東京オレンジ主宰・横山仁一氏の個人ブログ「dead poets society koshigaya」の内容が大問題になりました。横山氏は浦和レッズの熱狂的サポーターで、川崎市の洗足学園音楽大学ミュージカルコースの講師も務めています(これらは公表されている情報です)。

同じ川崎ということで、川崎フロンターレは2年前から同音大で新体制発表会見を開いています。2007年は1月14日にありますが、その中で学生によるミュージカル『Our life with Frontale』が上演されます。この演出を横山氏が引き受けたわけですが、ブログにレッズと比べた文章を記しました。現在すでに全文削除されて読めませんが(この件のまとめサイトがありますが、年内にクローズする旨を宣言されていますのでリンクはしません)、フロンターレをあからさまに揶揄した内容でした。サポーターが読んだら激怒するのも無理はないと思います。

演劇人としてもカチンと来た部分があるので、そこだけは引用します。レッズの応援と比較して、「(フロンターレのホームスタジアムである)等々力で感じた感動は下北沢の小劇場程度の盛り上がりに過ぎないことがわかってもらえると思います」(12月1日付)とありました。レッズサポーターにはそう思えるのかも知れませんが、演劇人なら私は「下北沢の小劇場程度」とは書かないと思います。劇場への愛が感じられない表現です。

この内容が2ちゃんねるのフロンターレ本スレに24日書かれたため、このような人物になぜ演出を任せたのかと騒ぎになり、結局、横山氏は演出退任に追い込まれました(27日発表)。演出プランも後任の方に変更を依頼したそうです。

ビジネスですから、必ずしも仕事を受けた先のファンになる必要はありませんが、少なくとも仕事中はクライアントに敬意を払うのが職業倫理だと思いますし、どうしてもレッズのことしか考えられないのなら、フロンターレの仕事は最初から受けるべきではなかったと思います。横山氏は「一般公開メディアの影響力に無自覚なまま、偏った私論を発信してしまっていた」と書いていますが、ネットに書いたことは世界中から読まれる自覚を持つべきでしょう。それが嫌ならパスワード制限して、知人だけに公開すればいいのです。

今回の脚本を担当する大倉マヤ氏によると、横山氏の「子供っぽい表現」を知っていれば理解出来ることだそうですが、横山氏を知らない多くの読者は文章だけで判断するしかないわけですし、対外的には通用しないと思います。私も横山氏のブログはずっと読んでいますが、前回の総選挙のとき投票会場内で撮った写真をUPして、批判のコメントが付いたのを覚えています。今回の無自覚な記述も、その延長のような気がします。演劇人である前に社会人であるべきだと思います。

今回の件は個人的な資質の問題であり、川崎の皆さんに「だから演劇人はダメなんだ」と思われないよう願っています。