京都橘女子大学文化政策学部の小暮宣雄助教授が、講義にアトリエ劇研の杉山準プロデューサーを招いた様子が、アーツ・カレンダー「こぐれ日記」vol.573に記されています。「小劇場の役割」というテーマで、杉山氏は具体的な数字を挙げながら小劇場の必要性を説かれたそうです。
最後に文化の多様性ということで語られた内容が素晴らしいので、長めに引用させていただきます。
どうして小劇場演劇が必要なのか。なぜなら価値観が画一化されていくことがとてもとても怖いからだ。USAはきらきらしているかもしれない。それでもディズニーのようなグローバリズム文化の支配/蔓延がわたしたちの顔を曇らせる。
それは、それらがじつに口当たりのいい食べ物のようなものだからだ。お客さんが食べたくなりそうなものだけをマーケティングして大量に提供しているからだ。ごつごつした地元で採れた食物よりもディズニーのほうがおいしそうに見え、見向きされなくなった地域独特の食物や食事がなくなってしまっているからだ。
本当に身体にいいものは、最初口当たりがよくないかも知れない。それは食べてみなくちゃわからない。それに毎日普通に食べているご飯のようなもの、当たり前にあるものこそ、とても大切だということを気づくこと。自分たちの周りに多様な価値観を認めておくような環境、多様性を残しておくこと。
それがいざというときに役立つのです。みなさん、幸せな毎日を送ってください。自分がいいねと思う体験をしてください。そのために、自分の心に響くものを自分で選択してください。
私個人の経験ですが、アーツマネジメントを専攻している学生にはがっかりさせられることが多いです。情熱はあると思いますが、視野が異常に狭かったり、理論だけが先行したりで、せっかくの才能が発揮されていないと感じる場面によく出会います。信じられないことですが、劇団四季しか観ない、目指すは劇団四季制作部という短絡的な学生が多いのも事実のようで、アーツマネジメント系教育機関の苦労が偲ばれます(劇団四季が悪いのではなく、劇団四季しか見えない学生がおかしいのです)。
なぜ、他人が誰もしていないことをやろうと思わないのか。なぜ、それは他人がすでにしていることかどうかを確かめないのか(インターネットがあるのに)。なぜ、自分の身近な範囲しか視野に入らないのか。少し背伸びをすれば、少し道具を使えば簡単にわかることなのに……。アーティストを育てる芸術系の教育機関も大変だろうと思いますが、プロデューサーを育てるアーツマネジメント系も、いまは同じくらいの困難を抱えているのではと思います。
学生は視野を広く
細かい内容は引用しませんが、うなずける話でした。このブログから内容へリンクされていますが、もっと詳しい話を聞きたいところです。 京都橘女子大学文化政策学部の小暮宣雄助教授が、講義にアトリエ劇研の杉山準プロデューサーを招いた様子が、アーツ・カレンダー「こ…
どうもです。
少し照れつつ、引用していただき(杉山準さんの引用でもありますが)、感謝します。
いま、わたしの専門演習希望の学生が減少しています(はじめが多すぎたので、まあ平均すればちょうどいいのですが)。それでも、あんまり学生には媚びずにいようとは思っています。大変な稼業かなあとも思いますが、まだ若い人に絶望はしないでおくつもりです。(あと、金太郎のマークのほうも、ぜひ、お願いします)
トラックバックがなかなかに、むずい
トラックバックという機能は便利そうなのですが、まだよく分からず、いろいろ他のブログに行っては迷惑をかけたりしています。フリンジブログをうまくゲットできないや。
ディズニー文化を否定するなら、源泉徴収を廃止せよ!
fringeのblogのエントリー「学生は視野を広く」を読んで、 指摘してることにある程度は賛同しつつ、 根本的な問題設定としては、間違っていると思ってしまった。 それは、なぜか?