この記事は2004年2月に掲載されたものです。
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京都学生劇団事情

カテゴリー: 京都下鴨通信 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 杉山準 です。

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京都から有名になっていった多くの舞台芸術家が、学生劇団の出身であることからもわかるとおり、大学がたくさん集まっている京都の環境が彼らを育てたとも言えます。学生劇団の活発さは今後の京都並びに関西での舞台芸術の活況を占うものでもありましょう。ということで、京都の学生劇団の現状についてすこし。

 多くの人材を生んだ、京大、同志社、立命館という大きな大学の演劇サークルは相変わらず活発な活動を展開し、やはり動員数でもそうした大学が多くの観客を集めているようです。動員数では立命館大学のサークルがリードしているようです。しかし、全体的には学生劇団はやや元気を失っている印象を受けます。そんな中で健闘が光っているのが、仏教大学、京都精華大学といった小さな大学の演劇部です。OB劇団の活躍が刺激になっているのでしょうか、京都の学生劇団のネットワークづくりにもそうした大学の団員が大きな力を発揮しました。今まで無かったのが不思議なくらいなのですが、公演情報などを共有し、合同公演を行う京都学生劇団のネットワークができたのです。彼らは「ドラマ オン ステージ(通称DOS)」という共通の情報紙を発行したり、この3月には初の合同公演を実施します。現在8大学11劇団が参加しているとのこと。そうした動きによって、京都の大学の学生劇団は風通しの良い状況が生まれています。作品向上ならびに観劇人口の増加が期待されるのですが、学生は代替わりするため、そうした組織を永続的に運営するのは困難が予想されます。継続を心から期待しています。
 また、京都造形芸術大学の映像・舞台芸術学科舞台芸術コースからこの3月第一期の卒業生が出ます。また、京都橘女子大学に2001年に新設された文化政策学部も来年卒業生を出します。こうした専門教育を受けた人材が、今後全国的に注目されていくことになるかもしれません。
 学生劇団と舞台芸術にまつわる専門教育を受ける学生が、刺激しあいながら、
豊かな舞台芸術の土壌を育んでくれることを期待せずにはいられません。


京都学生劇団事情」への1件のフィードバック

  1. 大橋敦史

    東海シアタープロジェクトの大橋です。杉山さん、昨年の名古屋演劇プロデュース・ワークショップではお世話になりました。

    さて、私が本拠地とする名古屋では、学生劇団は危機的状況に陥っています。先ず、「ぶっちゃけオモロクナイなぁ~。」という公演があまりに多い。
    そして、「お客さん入らない」し、「入らなくても別にいいや。」と思っている輩が多すぎる。
    卒業したら芝居辞めちゃうのが大半だし、そうじゃない人も趣味や、その延長だったりします。がっくりです。京都の倍以上の劇団数はあるはずなのに、全国に発信されている才能が少な過ぎるのは事実です。

    だからこそ、この名古屋の学生演劇界の状況を好転させれば、名古屋の演劇事情そのものが好転するのではないかと想い、学生演劇の発展に奔走しています。

    京都造形芸術大学の映像・舞台芸術学科のような専門教育を受けられる大学も、名古屋周辺には未だにありませんから、今でも才能の泉は学生劇団です。この泉にはまだまだ可能性があると思っています。南山大学のハイセコ企画がなければ、新進劇団の「あおきりみかん」だって無かったわけですから、それは今でも実証されています。

    まぁ、愚痴ってばかりいても始まりませんから、そこから脱却するためにワークショップ開催・拠点となるスペース獲得・プロデュース公演・ネットワーク構築などの様々な取組みを、2001年に設立された名古屋学生劇団協会(NGK)が行っています。

    現在NGKでは、大阪の新進劇団デス電所の竹内佑を作・演出家として招き、第2回となるプロデュース公演を製作しております。公演は3月末に大阪。4月1週に名古屋で行います。

    NGKは結成の際、才能を育て・発信する演劇祭が必要だろうと話していまして、結成5年後に演劇祭を開催するという計画を立てたのですが、そのモデルとして想定されていたのが、大阪の芸術創造館で開催されていた「キャンパスカップ」でした。
    結成2年後、翌年に計画していたプロデュース公演の計画中に、全国版のキャンパスカップが芸術創造館が拓くという情報をキャッチして、これはステップアップのために参加するしかないぞ!!と、芸術創造館に問合せ、なんだかんだと経て同劇場での公演が決定しました。いろいろあって、全国版キャンパスカップは開かれなくなっちゃったんですけどね。
    ちなみにデス電所は学生劇団時代、キャンパスカップで大賞を受賞しています。さらにちなみに言いますと、竹内さんは近畿大学の芸能専攻出身なのですが、大学に進むまでは名古屋に居住されてみえました。

    ぼちぼち2年後の演劇祭の企画検討時期も迫ってきています。加盟劇団は未だに伸び悩んでいるNGKですが、さてはてどうなる事か。

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