この記事は2012年6月に掲載されたものです。
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劇場・音楽堂法に期待していたこと|中央一極集中の緩和

カテゴリー: さくてき博多一本締め | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 高崎大志 です。

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先月5月20日、東京都北区の王子スタジオにて、in→dependent theatre 相内唯史氏(大阪)、王子小劇場 玉山悟氏(東京)と、他地域公演に関するトークをおこなってきました。
主催者側のセッティングにより、トークは大いに盛り上がりました。

このトークの中で「東京から拠点移動するアーティスト」についての話になりました。そのトークでは拠点を移動した人の例として小池竹見氏の名前があがり、そして本日、鳴海康平氏が三重県に拠点を移すという報に接しました。
これを都落ちという文脈で捉える向きもあるのかもしれません。が、私は、これを国内の演劇シーンにとってプラスに作用するものと考えたいと思っています。日本の演劇シーンのもっとも大きな優先的に取り組むべき問題は、中央一極集中の緩和であると思っています。
優れたアーティストが地域に拠点を移す傾向については、歓迎したいという立場です。

しかし、それほど楽観的になれないのは、劇場・音楽堂法が地域の演劇シーン活性化には十分機能しない方向で進んでいるように見えることです。劇場・音楽堂法には、そのようなアーティストを地域で迎え入れるための土台を作ってくれることを期待していました。

地域の人材を核として、国内トップレベルの優れた作品づくりを行う。そのような劇場が、国内に10劇場ほどある。私は、この姿を実現できるかどうかがこれからの日本にとって大変重要なことだと思います。そしてそれが実現した時に、中央一極集中の緩和は、日本の国情・国力からみて満足すべき状況に改善されたといっていいと考えています。

最近、劇場・音楽堂法の流れを精緻に追えていませんが、助成制度の動きや現在の枠組みでは、単発のプロデュース公演をやるための事業予算は確保できるようですが、劇場がアーティストを抱えるというところまでは難しいような印象です。
拠点を移した優れたアーティストをバックアップできる体制は、不十分であると考えています。

3人ほどのレジデンスアーティストが劇場にいて、3年間程度の契約期間があり、少なくとも1年のうち半年はその地域に住み、年2本程度の作品をつくる。それを保証するような枠組みができることを期待していました。

単発の公演で、優れたアーティストが地域に1,2ヶ月だけ滞在するのではなく、芸術監督またはレジデンスアーティストとして、年のうちの半分程度滞在し、3年間くらいはその地域に居続けるという形を取らないと、その地域のことも理解できず、その地域の人材育成にもつながらないのではないか、その地域に根ざしたといえる作品も作れないのではないかと思います。
現在の制度では、優れた特定のアーティストがある程度の継続性をもってその地域に関わることはむずかしいでしょう。