この記事は2011年12月に掲載されたものです。
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2011年の大阪の小劇場を簡単に振り返って

カテゴリー: とある制作の観測的ブログ | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 間屋口克 です。

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どうも大変ご無沙汰をしております。
大阪の間屋口です。

先日、ラウンドテーブル&ケーススタディ「地域での小劇場ロングランをめざして」に行った時に、荻野さんにブログを書いていないことを指摘いただきまして、「これから月1で書かせていただきます。」と言ったものの、ようやく書けたのが12月の最終日で申し訳ありません。さて、何を書こうか悩みましたが、大晦日なので「個人的な今年の大阪の小劇場の振り返り」を書きます。

2011年は本当にいろいろなことがあった年で、日本や世界にとって大きなターニングポイントになる年だと言われていますが、大阪の小劇場でも同様にターニングポイントになる年のように思われます。

私は2004~2005年ぐらいに小劇場に関わり始めたので、それ以前のことは見聞きするだけですが、2002年ごろにOMSの閉館が決まり、1990年代と2000年代の違いが出てきたような気がいたします。それと同様に、今年、精華小劇場やナレッジシアターの話などが持ち上がり、2010年代の大阪の小劇場の在り方を模索していく年であったような気がします。

しかし、大阪では11月に市長・知事のW選挙が早くから噂されており、特に公的な舞台芸術の支援の在り方は、なかなか物事が決まらない状態でした。
精華小劇場のあった精華小学校跡地も、「今年内に売却」という市の方針がありましたが、塩漬けが続き、12/22の市議会では橋下市長は「無条件での売却はしない」と述べ、売却や利用方法について再検討に入りました。

変わるか大阪:「無条件で売却せず」 橋下市長、精華小跡地問題で(毎日新聞)
http://mainichi.jp/area/osaka/news/20111223ddlk27010356000c.html

(一応、大阪市は今年度中の売却を明言していたわけではありませんが…。下記の平成23年4月の回答)
http://www.city.osaka.lg.jp/johokokaishitsu/page/0000129034.html

また、年の前半には話題が盛り上がっていた、ナレッジシアターも大阪大学や大阪市のトップ交代に翻弄されて、夏ごろにはプロデューサー/芸術監督の公募と言われていたものの、未だに運営形態さえ見えてこない状態です。

このように、2011年の大阪の舞台芸術の公的支援や、公立劇場はとにかく足踏みと迷走を繰り返してきたように思います。しかし、ニュースでも話題になっているように、橋下市長就任後は、すさまじいペースで物事が決まっています。なので、2012年は逆に今まで止まっていたものが、一気に動き出す可能性があるかもしれません。個人的には、それが良い方向に進むことを願うばかりです。

暗い話題の一方で、今年は個人的には若い劇団の方に多く出会う年でした。2月にDIVEのセミナーに出てくださった、中西ちさと(ウミ下着)さんや、鈴木友隆さん(ともにょ企画)。ウイングフィールドでされていた若手劇団の支援企画「ウイングカップ」でお会いした、2vs2さんや劇団からまわりえっちゃんさん。柿喰う客「悩殺ハムレット」のアフタートークに出ておられた、作道雄さん(月面クロワッサン)や、公演を手伝ってくれた佐々木峻一さん(努力クラブ)など。

私自身の怠慢で、皆さんの作品を見に行けているわけではありませんが、とても可能性を感じさせる方が多いように思います。また、一心寺シアターのOSAKA夕陽丘学生演劇祭や、京都で行われている京都学生演劇祭などを通じて、若い世代で注目の劇団や才能が話題に上ることが多くなりました。
そして、fringeでは何度も取り上げられている、in→dependent theatreの一人芝居などでも、新しい顔ぶれを見かけることが多くなったように思います。

最近は、自分に近い世代でも劇団の解散や休止が多くなった一方で、このように新しい世代の台頭もあり、その面でもターニングポイントであることを感じています。

そのような若い世代のピックアップということでは、AI・HALLで、今年、「次世代応援企画-Break a leg」という企画がありました。
ここで、「baghdad cafe」という劇団が選ばれたのですが(全部で3団体で、あとの2つは「双子の未亡人」と「冨士山アネット」。公演は来年度。)、これは非常に素晴らしい判断だと思いました。

私は、baghdad cafeは「名前は知っているが未見」という状態ですが、もっと知名度のあるところや、話題性のあるところも応募してきているであろう中で、企画の趣旨をぶらさずにこれから伸びていく可能性にかけて若い劇団を選んだことは、たとえ結果的がどうなったとしても、関西で活動する若い演劇人にとって、希望が持てることだと思います。
AI・HALLは、今年、OMS戯曲賞の大賞を受賞された極東退屈道場の林さんにも、成長を促すように様々な機会を考えていたように思いますし、ぜひ若い才能を持った人々が集まり、成長する場になればと思います。

久しぶりのブログへの投稿で読み苦しい点も多いと思いますが、ご容赦いただきながら、少しでも大阪の状況の一面が伝われば幸いです。
それでは、約束を守って月一回投稿することを、来年の抱負としたいと思います。