前項の末尾部分で、国の助成金の首都圏偏重やその改善が難しいかもしれない。ということをほのめかすような記述をしました。
私は、芸術文化振興基金の予算配分に、芸術文化環境の地域間格差を生み出す仕組みがあるのではないかと考えています。そして普通に考えて、誰しも住んでいる地域には郷土愛があり、首都圏に偏重している助成金という既得権を首都圏の方が自ら手放すのは困難なことだろうとも思います。
話が飛躍するようですが、これは中央集権の仕組みに限界が来ているのだと思います。私は、国の行う芸術文化の助成については、東京でその可否を判断するのではなく、道州単位で地域を区切り、そこで判断すべきだと考えます。
中央にての一括審査では、地域の実情への有効な対策を助成金の配分に反映することが技術的に不可能です。
中央集権が限界に来ていることは、芸術文化の分野だけではなく、政治・経済の分野でも多くの議論がおこっているところです。その変革はもっとも効用の高い時期を既に過ぎていると思われます。
そして、予算の配分については、人口割だけではなく、道州を単位とする地域割りの概念をぜひ導入してもらいたいと思います。
人口割と地域割で道州に予算を配分して、あとは道州で助成先を決定する。これが私が理想とする姿です。
この結果、地域によって助成金採択率の倍率は大きく差が開くことが考えられます。応募の少ない地域では、高確率で助成を受けられると言うことになるでしょう。
しかし、それは芸術文化環境的に立ち後れた地域への重点助成であり、国内の地域間格差を緩和するために、たいへん望ましいことです。
東京在住者に東京への郷土愛はそれほどないと思います。東京には地域の出身者が多いわけですから。
道州制など行政の課題を語るのと平行して、地域のカンパニー自身がどれだけ個性を発揮しているかを、もっと突き詰めて考える必要があるのではないでしょうか。
地域のカンパニーの東京公演を観ても、なぜ東京で上演するのか、意味が感じられないものが近年増えているように感じます。
>地域のカンパニー自身がどれだけ個性を発揮しているかを、もっと突き詰めて考える必要があるのではないでしょうか。
これは、おっしゃるとおりだと思います。
>東京在住者に東京への郷土愛はそれほどないと思います。
荻野さんがおっしゃるとおり強い「郷土愛」といえるものはないかもしれません。しかしながら自分が住んでいる土地が潤う選択を消去法的におこなうレベルの「郷土愛」はあると考えています。
定義なしに「郷土愛」という言葉は不適切だったかも知れませんので、上記のような定義によるものと、訂正いたします。
>東京には地域の出身者が多いわけですから
東京圏(東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県)人口3400万人に対し、2007年の東京圏の転入超過数は15万人です。
この15万人が20年続くとして、300万人で、東京圏人口の10%になります。
なので多いとは言えないと思いますが、この計算も20年住むと出身地への郷土愛はうすれる。という前提なので、不確かな部分を含みます。