この記事は2008年2月に掲載されたものです。
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支援者(団体)の厚みの違い3

カテゴリー: さくてき博多一本締め | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 高崎大志 です。

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今回は劇評家について考えてみたいと思います。

劇評家の重要性については、多くの議論がありますが、その有用性については掘り下げて語るまでもないでしょう。さらにいくつかの演劇に関する懸賞の制度と、劇評家に観てもらうことの相関性などもあり、マクロ的にみて、その地域に劇評家がいることは、その地域の舞台芸術シーンにとって有益なものとできるかとおもいます。

国内の劇評家が地域的にどのように分布しているかということについて考えてみます。
AICTのサイト(http://wwwsoc.nii.ac.jp/aict/myweb1_004.htm)では会員名が公開されていますので、全会員の主要活動拠点を調べれば正確な情報が出るのでしょうが、そこまでの調査能力がないため、省略と推察で補います。

役員の5名に絞って、主要活動拠点をざざっとネットで調べましたが、みなさん首都圏を拠点にされているようです。ここからおおつかみに類推するに、劇評家の7割くらいは首都圏に、2割くらいは関西圏に、残りの1割くらいが、それ以外の地域にいる。という状況のようです。

これを福岡と東京で考えると、比率は1:40位にはなりそうなカンジです。都市圏人口比の約17倍を上まわる格差になっているようです。公演数で地域比較すれば、比率的には妥当なラインになるかも知れません。
(首都圏人口4200万人 福岡都市圏人口 240万人)

しかし、これでも福岡はまだましだと思います。劇評家がいるので。
福岡より小規模な都市では劇評家を自覚した人材そのものがいない場合もあるでしょう。それらの地域では、劇評家の効用をまったく享受できないということになります。

以下は、話が細かくなるので言及しませんが、
・ひとりの劇評家による劇評だけでは危険な場合がある。
・影響力を持つ劇評家はさらに特定の地域に集中している。
という問題も、考えるべきでしょう。

劇評家が公共性のある存在ならば、たとえば劇評家組織が旅費宿泊費をだして、せめて各県でのもっとも優れた公演をみにいって劇評をおこない、地域間格差の是正に資することも、検討対象にはいって良いかも知れません。
といっても、予算的にどうにも厳しいだろうと思いますが・・・