この記事は2008年2月に掲載されたものです。
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支援者(団体)の厚みの違い2

カテゴリー: さくてき博多一本締め | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 高崎大志 です。

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福岡には地域の表現団体に積極的な支援をしているといえる劇場は残念ながらありません。西鉄ホール(キャパ400)とぽんプラザホール(キャパ108)がかろうじて、それに近いです。
しかし西鉄ホールでは地域の劇団が公演する機会は数えるほどしかありませんし劇場としてワークショップ等の取組をしているわけでもありません
ぽんプラザホールも各種の支援があるように見えますが、基本的には貸し館で、劇場として積極的に公演団体へのフォローがあるわけではありません。各種の事業は劇場としての機能というより、指定管理者であるFPAPの自主事業という側面が強いカンジです。
(ここ、FPAPの努力不足の面もあります。)

東京について考えてみると、単なる貸し館ではなく、その地域の表現団体に積極的な支援をしているように見える劇場が多々あるようです。
アゴラ劇場、王子小劇場、シアターグリーン、本多劇場グループ、世田谷パブリックシアター、吉祥寺シアター・・・
まさに枚挙にいとまがありません。
(この中で、貸し館しかしてなくて積極的な支援をしているとは言えない。という場合はコメントでつっこんでください。ただし一つ二つつぶされても全体の主旨に影響はないと考えています。)

劇場が持つ創作面でのノウハウであったり、制作力であったりは表現団体にとって、大変価値あるもので、表現団体はこれらの劇場から、それを有効に引き出すことで大きなメリットが得られます。
予算などと違いなかなか数値化できませんが、比喩的に福岡と東京を比較するなら福岡は子ども二人に対して、東京は大人がたくさんいるというカンジです。

それでも福岡は民間の劇場があるだけ、まだ良い方だと思います。

基本的に「表現」というものの支援は公共よりも民間劇場の方が、得意な傾向があると思います。それを得意とする先進的な公共劇場もありますが、現時点では例外の範囲でしょう。
劇場利用の運用についても、公共劇場は表現をする場である劇場で、表現を制約しがちな傾向があることも、よく耳にします。
(これは、法律の不備の面が多いでしょう。観客の安全を確保し、表現を十全におこなえる個別法が必要だろうと思います。)

福岡より小規模な都市では、そもそもその地域の団体が利用可能な民間劇場がないのが普通だと類推され、さらに大きな格差があると思われます。


支援者(団体)の厚みの違い2」への2件のフィードバック

  1. 荻野達也

    この中で本多劇場グループは明らかに違うと思います。貸館がほとんどで、そこでやることで劇場のノウハウを得られるわけではなく、逆に一定のノウハウがあるところにしか貸さない方針だと思います。その審美眼にかなった団体しか使えないわけで、だからこそそこで上演することが若手にとってステイタスになっているわけです。

    最近はノウハウ以前の問題として、劇場の使い方がひどい若手カンパニーが増えているように感じます。そんなところに誰もノウハウを教えようとは思わないわけで、逆説的な言い方になりますが、支援の充実というものは支援する側の数ではなく、支援に値する団体がどれだけいるかということではないでしょうか。

    高崎さんだって、マナー面で二度とぽんプラザホールを使わせたくない団体があるのではないでしょうか。逆にマナーが素晴らしければ、貸館であっても個人的にアドバイスしてやろうと思うでしょう。それと同じことです。

  2. 高崎大志

    ご指摘ありがとうございます。
    本多劇場グループは、下北沢演劇祭に協力するなど、支援があるかと思っていましたが、違いましたか・・・

    劇場のノウハウにカンパニー側の姿勢が重要なのは、おっしゃるとおりだと思います。支援するノウハウをもった劇場と、支援に値するカンパニーの両方が重要なのかなぁと感じています。

    >劇場の使い方がひどい若手カンパニーが増えている

    ぽんプラザホールでも、確かに、眉をひそめるような使い方の団体が稀にあります。二度と使ってほしくないと素直に思います。
    あんまり大きい声では言えませんが。

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