この記事は2007年7月に掲載されたものです。
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ヨーロッパ企画とダムタイプ

カテゴリー: fringeのトピック以前 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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ヨーロッパ企画がやってきたことを、演劇の範疇だけで語るのは難しいと思います。舞台関係のイベントはもちろん、映像、Web、放送、雑誌を使った様々な企画は、シアターカンパニーの余業というより、それ自体がファンを集める表現となっています。

公式サイトと別に設けた「ヨーロッパスタジオ」は、毎日更新されるオリジナルコンテンツがてんこ盛りで、過去2回開催された「スタジオ祭り」は24時間ラジオやリアルタイム更新など、まるで「ほぼ日」のイベントを見ているような感覚です。主催する超短編映画祭「ショートショートムービーフェスティバル」(SSMF)は、一般参加も交えて年々規模を拡大し、俳優で舞台美術を手掛ける酒井善史氏は、建築関係のトークショーにも招かれています。

建築と言えば、主宰・上田誠氏の実家である京都の上田製菓工場を事務所に改造しているのは有名ですが、季刊誌『Re:S』(リトル・モア)では「ヨーロッパリハウス」というリフォーム話だけの連載までしています。『Re:S』は関西発のライフスタイルマガジンで、りそな銀行が企画協力。SSMF大阪本選がりそな銀行本店で開かれるのもそのためです。

小劇場では俳優がスタッフワークを兼ねることが一般的ですが、出来れば俳優に専念したいと考えるのが普通です。ヨーロッパ企画の場合、俳優もするけれどほかのことも主体的に取り組む傾向が強く、カンパニーと言うより、新しい形のクリエイター集団と言ったほうが正確ではないかと思います。クリエイター集団が表現の一つとして演劇をすることもある、といったイメージでしょうか。

異色の集団ですが、考えてみれば演劇は総合芸術で、その気さえあれば関係者の能力を活かした様々な展開が可能です。マスコミの仕事が少ない関西で、オファーがかかるのを待つのではなく、自分たちの存在自体をコンテンツにしていくというのは、他地域でも使える戦略だと感じます。

それはエンタテインメント系だから出来るのだろうと思われるかも知れませんが、舞台を離れた表現は、むしろアーティスティック系のカンパニーが得意としてきました。ヨーロッパ企画の多彩な活動を見て、私は同じ京都出身のダムタイプを思い浮かべました。内容自体は何億光年も離れていますが、映像作品、CD・カセットブック、郵便、インスタレーションなど、舞台以外で様々な実験を駆使したダムタイムは、パフォーマンスをすることもあるアーティスト集団だったと思います。ヨーロッパ企画はダムタイプの遺伝子を受け継いでいると思うのですが、いかがでしょうか。

「ヨーロッパリハウス」第2回(『Re:S』4号)では、ヨーロッパ企画の制作者・井神拓也氏のデスクも写真で紹介されました。土間にビールケースを並べて床にしたそうです。

Re:S VOL.4
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