この記事は2007年2月に掲載されたものです。
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「試演会」の試み、広がる

カテゴリー: 京都下鴨通信 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 田辺剛 です。

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「C.T.T.」という試演会の仕組みが京都でつくられて10年あまり、この仕組みが名古屋そして広島へと広がりつつあります

「上演時間は30分以内、素舞台、地明かりのみ、音響なしという制限のもとでパフォーマンスをし上演後には観客を交えて話をする、そこで得られたヒントをもとに創作者は次のステップにつなげる」。こういう流れでC.T.T.は二ヶ月に一度くらいのペースで試演会を催しています。その詳しい仕組みはC.T.T.のブログにもありますので興味のある方はご覧ください。試演会という位置づけなので作品が途中で終わってしまっても構いません。実験性の強い作品を試したい、役者のあいだで行ったワークショップの成果を検証したい、そんないろんな「試す」を可能にする場であるとわたしは考えています。わたし自身もかつてC.T.T.で上演し、また今は京都を離れているのでなにもできませんが事務局員です。ですので手前味噌のような話になってしまい恐縮なのですが。

大切なのは上演後の話し合いといいますか、わたしたちが「合評会」と呼んでいるそれです。これをどういうカタチで行うのかという試行錯誤がずっと続きました。お酒やお菓子を出して自由に話したい人同士で話すというものから、「批評委員」なる役目をある人にお願いしてみんなの前で論評してもらったり、いまでは司会を立て観客も交えたディスカッション式のもので落ち着いています。けれども以前は参加者がどうしても普通の本番公演と同じように見なしてしまい、そうなると合評会なんかは特に嫌なものに感じられまたいろいろなC.T.T.の制限も障害になってくるのですが(この制限には運営上の理由があります)、それゆえに問題が起こったことも数多くありました。参加者とC.T.T.の思惑のズレをうまく調整できずわたし自身トラブルを起こしたこともあります。観客にも「創作の途中だけど上演されている」ということがうまく理解されないという困難もありました。ある舞台を観るときにそれは稽古の末に完成したものだろうと思うのはふつうのことですから。

10年目くらいからでしょうか最近ではやっとC.T.T.への仕組みと考え方も浸透・定着してきたところで、そんな折に名古屋と次の四月には広島への出張ということになったのです。名古屋では引き続き現地のスタッフによって継続されるようです。その土地その土地で事情も異なるでしょうから、そのあたりはうまく仕組みを調整しながら、続けていってもらえればと思います。

上演会では通常二団体以上の公演が連続して行われます。ですので創作者同士の交流にもつながるという面もありました。これが今度は他都市での開催ということになることで、地域を越えた創作者同士の交流の場になればと思っています。その流れを占う「C.T.T.セレクション・イン・京都」という催しが今週末(3月3日、4日)に行われます。

C.T.T.は今でもさまざまな課題を抱えている仕組みではありますが、それが改善されながら広がっていけばと思うところです。
C.T.T.ブログ:http://cttkyoto.jugem.jp/


「試演会」の試み、広がる」への1件のフィードバック

  1. まど。

    C.T.T. Selection in HIROSHIMAの開催

    『C.T.T. Selection in HIROSHIMA』
    4月28日(土)13:30~、18:30~
    4月29日(日)13:30~
    山小屋シアター(横川駅まえ、商店街)
    上演協力金 1800円
    お問い合わせ cielo_kie@yahoo.co.jp,(090-7892-8925)
    公演終了後に合評会を行います

    C.T.T.とは、11年前…

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