演劇は媒体に保存して流通出来ない特殊な表現ですが、同じ性格を持つものとして、私はスポーツの試合に例えることがよくあります。クリエイティブワークと興行が同時に行なわれ、ライブで観ないと意味がないという点で、スポーツは演劇とよく似ています。テレビ中継は多いですが、スポーツだってライブの臨場感は格別です。スポーツでも、興行主はテレビ観戦よりスタジアムに足を運んでくれることを願っていますし、中継されないマイナーな競技や試合の関係者はなおさらでしょう。演劇と同じ構造です。
今年は野球の四国独立リーグ(四国アイランドリーグ)が始まりましたが、これこそ小劇場に近いと思います。プロ野球を商業演劇と考えると、少なくとも興行面において、四国アイランドリーグの挑戦は若手カンパニーのように思えませんか。全試合観られるゴールドパス3万円(譲渡可)というのは、こまばアゴラ劇場支援会員制度のグループ会員を連想します。公式サイトが多数工事中なところも、若手カンパニーを見るようです。
当初苦戦が伝えられたスポンサー集めは、日本経済新聞東京本社版5月10日付夕刊によると、石毛宏典社長の奮闘で13社計2億4,000万円に達したそうです。1試合平均800名動員すれば年間運営費の約7億円を上回るそうで(ちょっと計算が合いませんが、物販収入や金銭以外の支援を相当見込んでいるのでしょう)、この800名という数字も身近に感じられます。未熟な点も含めて四国アイランドリーグがどうなっていくのか、興行の可能性という意味で注目したいと思います。
同紙大阪本社版5月10日付四国版によると、現在の動員は5月8日までの13試合で2万9,792名、平均2,292名だそうです。