五反田団が青年団リンクから独立したことは、かなり遅れて知りました。青年団や五反田団のサイトで周知されているわけではなく、青年団リンクの一覧から消えたことで知ったわけです。両カンパニーはそれなりの話題性をもって合併し、「団祭り」というイベントも2年開催してきたわけですから、独立に当たっては広報があってもいいのではないかと感じます。
青年団リンクからは「地点」も独立しました。これも青年団から広報があったわけではなく、メーリングリストや掲示板に「地点」制作者の田嶋結菜氏が書き込んでいるのを見ただけです。
青年団リンクは一過性のプロデュース公演ではなく、「本公演と並んで、批評の対象となるような創作活動を常に目指して」いると、青年団サイトで解説されています。当然ながら、その独立は観客の関心事であり、青年団には説明責任があると思います(もちろん、五反田団や「地点」にも)。方向性の違いなどもあるでしょうから、理由まで書かなくてもいいと思いますが、独立するという事実はきちんと広報すべきではないでしょうか。
青年団に限らず、演劇の世界では退団もあまり知らされません。稀に本人からの挨拶などを見かけることもありますが、多くはチラシに名前が載らなくなって初めて観客が気づきます。円満退団でない場合も多いでしょうが、観客になにも知らせないというのは、私は制作者として抵抗があります。こちらもプライベートな理由まで書く必要はありませんが、退団の事実は広報すべきだと思います。
元・弘前劇場制作者の佐藤誠氏は、弘前劇場の主力俳優2名が退団したことが公式サイトで発表されないことについて、こう記しています。
全く同感です。演劇の公共性は平田オリザ氏が主張し続けてきたことですが、ならばそれを体現化するカンパニー自身の組織や人事についての情報公開も推進すべきでしょう。上場企業がIR活動として投資家にマイナスな情報も公表するのと同様に、カンパニーも観客に組織の現状を公表することが大切だと思います。その透明性が、助成金を受け取る姿勢にもつながるのではないでしょうか。
青年団は、個々の公演の宣伝はよくやっていると思います。青年団本公演が活動のほとんどだった時代は、公演の宣伝が組織の広報を兼ねる効果があったと思います。けれど、本公演に加えて青年団プロジェクト、国際演劇交流プロジェクト、若手自主企画、青年団リンク、そしてこまばアゴラ劇場とアトリエ春風舎の運営が林立した結果、青年団全体のブランディングが薄まっている印象を私は受けます。青年団全体としての広報戦略を見直す時期に来ているのではないでしょうか。