慶應大学SFC出身の劇団印象を主宰する鈴木厚人氏が今月から始めたウェブログ「ゾウの猿芝居」にコメントの嵐が吹きまくり、1日半で15個も付きました。きっかけはここで鈴木氏が、
人口が多ければ、マーケットが大きいことはもちろんのこと、
やる人、制作サイド(キャスト・スタッフ)の人も多いから、
当然、競争がある。つまり、質が高くなるはずである。
つまり、自然と、地方の演劇より都市の演劇のほうが、
面白いものになるはずなのである。
と書いたことにカンパニー内部から反論が出て、そのやりとりを書いたアーティクルにコメントが多数寄せられたものです。
確かに「都市の演劇のほうが、面白いものになるはず」という決めつけには問題があると思いますが、客観的に作品に接することが出来る観客数で比較すると東京が勝っており、そこで上演するカンパニーは刺激を受け、作品の普遍性を高められるという効用は受けているはずです。地域のカンパニーが予算面のリスクを背負ってでも東京公演をするのも、そうした批評を求めてのことでしょう。論点はともかく、問題意識としては間違っていないと私は感じましたので、特に反論したいとは思いませんでした。どんなに優れたカンパニーでも、閉ざされた観客の中だけでやっていてはダメになりますからね。
反論されている「観客です」氏のコメントの要旨は、「ビジョンを持たない若手カンパニーがマーケティングを語るのはいかがなものか」というものです。ビジョンのない高みからの発言が空虚なものに感じるのはそのとおりですが、だからといって若手がマネジメントの理想を語るのは決して悪いことではないと私は思います。主宰者がプロデューサーを兼ねているのなら、マーケティングについてどんどん言及したらいいと思います。ペピン結構設計の石神夏希氏やチェルフィッチュの岡田利規氏がマーケティングを語らないのは、プロデューサーではなく、純粋にアーティストだからでしょう。
それよりも、私は「地方」という言葉自体に疑問を感じないのかなと思います。「地方演劇」ってなんでしょう。鈴木氏も「観客です」氏もどんどん使っていて、私は違和感を覚えました(R氏=上本竜平氏だけは「東京以外の地域を拠点」ときちんと書かれていて、好感を持ちました)。お気づきの読者も多いと思いますが、fringeでは固有名詞や引用、外部筆者の記事などを除いて、「地方」はすべて「地域」と表記しています。これはfringeのこだわりです。
「地域演劇」ということ
fringe blogで「地域演劇」(「地方」ではなく)という呼び方へのこだわりについて書かれていたので、ちょっと反応してみます。
事の経緯はここをご覧ください。本題であった「地方の演劇はあまり面白くない」という意見については、そう思う東京の人がいるだろうというこ