劇場・音楽堂等の制度的な在り方に関する検討会(第11回)議事次第
が、公開されました。ここで公開された「劇場,音楽堂等の制度的な在り方に関するまとめ(案)」に見過ごせない修正があり、憂慮しています。
その部分とは、まとめ案の結論である「法的基盤の内容として考えられる事項」の
(1)総論 ① 劇場、音楽堂等の機能を生かした文化芸術の振興に関する国及び地方公共団体の責務 にあります。
まず、こちらは平成23年11月15日時点での記述です。こちらの記述がパブコメの対象となっておりました。
地域格差の解消を国政府の責務と明確に位置づけています。
これについて私は高く評価し、そのような意見を文化庁に送付しました。同じような意見も多かったようで、意見募集における主な意見をまとめた配布資料では筆頭に挙げられていました。代表的な国民意見と見ていいかもしれません。
そして、こちらが、パブコメを受けての平成24年12月19日時点での記述です。
地域格差の問題は、東京と非東京の話とほぼ言い切ってよいので、東京以外の大都市を道連れにしようとする記述に少々疑問を持っていました。が、国の責務という表記は変わっておらず許容範囲でありスルーしていました。
ちなみにこの日の検討会には私も傍聴致しました。
そして、こちらが平成24年1月13日時点での記述です。
これは、非常にまずい修正です。
まず、地域格差の解消の責務に地方公共団体が加えられている。これは明らかにおかしいし誤りです。地域格差は、国政府の政策によって生まれたものであり、解消の責務は国政府にあります。
この記述では、責任がどこにあるのかというのがまったくわからなくなって、何事も一切進まないというなりかねません。
また、東京と非東京の格差の他に、違った話(たとえば九州内での地域格差)も付け加えられ、この記述が当初予定していたところから、大きくかけ離れた結果となり、なんの実効性もない記述となっています。
この記述の修正、あらたに発見された課題(たとえば九州内での地域格差)に対応するために、同じ段にいれてしまったせいで、こうなったのだろうと善意的に解釈したいところです。
書きぶりを試行錯誤しているというだけで、東京と非東京の地域格差の解消に論点をしぼったとき、これが国政府の責任であるという見解は一貫して変わっていないと信じています。
次回のまとめ案では、これらの問題を切り分けるなど、国政府の責任がぼやけない明瞭な記述とすべきです。