この記事は2011年10月に掲載されたものです。
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平成24年度芸術文化振興基金・トップレベルの舞台芸術創造事業の変更ポイント

カテゴリー: フリンジのリフジン | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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平成24年度の芸術文化振興基金・文化芸術振興費補助金(トップレベルの舞台芸術創造事業)の募集案内が、日本芸術文化振興会サイトに10月3日アップされた。

トップレベルの舞台芸術創造事業は、23年度募集後に芸術創造活動特別推進事業から移行措置が取られたもので、募集案内の形で発表されるのはこれが初めてである。赤字補填ではなく、公演までの準備費用を予算内で助成するもので、なにが準備費用に該当するのか制作者のあいだでも議論になっていたが、詳細なリストがついて一目瞭然となっている。

要は公演本番前日までに直接かかる費用ということだろう。この定義だと、本来なら運搬費も往路分認められてよいはずだが、続けてツアーに出たり、初日がツアーから始まると計算出来なくなるので、除外したのだろう。従来型の芸術文化振興基金との併願は出来なくなったので、大規模なツアーの場合はどちらがよいか、充分シミュレーションしてから応募すべきだろう。出演料は対象外だが(伝統芸能・大衆芸能分野のみ特例あり)、稽古費として稽古場借料と出演者の稽古料が出る(40日分以内)。このリストの説明を見ていると、作成した担当者は舞台芸術のことをよく理解していると感じる。これなら制作者も納得するのではないか。

ほかに目立った変更点としては、経理面の厳格化がある。芸術文化振興基金・トップレベルの舞台芸術創造事業とも、対象経費の支払いを原則として銀行振込にすることが明記された。領収書は信じられないので、振込明細書で確認するということだ。トップレベルの舞台芸術創造事業は従来から財務諸表(貸借対照表、損益計算書等)の提出が必要だったが、芸術文化振興基金でも帳簿の保管だけでなく、その内容やチェック方法を明記。芸術団体としての運営がはっきり問われる形となってきた。専任制作者のいない任意団体は、今回が本当に転換期になると覚悟したほうがいい。

特筆すべきは、今回の募集案内が非常に見やすくなったことだ。前回まで表紙以外は黒1色だったのが、必要に応じて色を使い、書類記入例の注釈も赤字になった。全体の章立てもわかりやすくなり、流れ→仕組み→審査→提出→記入例と、とても理解しやすくなった。本来はこれは普通で、いままでがひどすぎたと思う。トップレベルの舞台芸術創造事業の助成対象経費リストを含め、日本芸術文化振興会も能力のある担当者が出てきてくれたかという思いだ。

前回の募集要項のページはすでに存在していないが、直リンクでファイルが開けるので、今回と比較してみてほしい。