この記事は2011年6月に掲載されたものです。
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アーツカウンシル検討委の報告書案を深く憂慮する

カテゴリー: さくてき博多一本締め | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 高崎大志 です。

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「文化芸術活動への助成に係る新たな審査・評価等の仕組みの在り方について(報告書案)」に関する意見募集の実施について
を拝読しました。

この報告書案が全体の中でどういう位置づけなのか、PD・POは何名くらいのイメージなのか、先行二分野と演劇分野への適用の関係などが、出てないので十分な検討ができない部分はありますが、それでもパブリックコメントに付したことについては、まず、評価されるべきだと考えます。

この報告書案は大雑把に言えば、日本芸術文化振興会が行う助成制度をよりよいものにするためにアーツカウンシルを設置する。そのアーツカウンシルの在り方についての提言とみていいでしょう。

現在、日本芸術文化振興会が行う助成制度の大半は、首都圏の団体が採択され資源配分されています。国政府の外郭団体が国税を使う事業でありながら、この偏りは許容できない範囲です(これについては、これまでfringeブログで数字を上げて示してきたことですので、省略します)。

この報告書案も、文章量比で言うと99%は首都圏の団体を念頭においた枠組みの中での見解に留まっています。
そのなかで11の課題があげられ、その対応が述べられ、またアーツカウンシルに持たせるべき機能について報告がなされています。

首都圏のみを視野においた制度改正としては優れた内容なのかもしれません。(荻野氏からの指摘もあり、私は首都圏の状況に詳しいわけではないので首都圏を対象とした評価については一旦判断を留保します。)
しかし、地域を拠点に活動する表現者や成果を享受する市民のニーズからはほど遠いものです。

現在の偏った資源配分のあり方を少しでも適正なものにしてほしい。この一点です。

返す返すも、今国内の舞台芸術シーンの最も重要な課題のひとつである、中央一極集中の緩和について触れられていないことは残念でなりません。

現在の報告書を見る限り、私がfringeブログで憂慮してきた
「アーツカウンシル検討委員は、特定地域の偏向が過ぎる」
「国政府が文化政策を考えるとき、7割位は東京のことしか考えてない」
の警鐘は不幸にも的中し、より悪い方に進んでいるようです。

さまざまな事情はあるでしょう。しかし対策はいたってシンプルです。

PD・PO選出においては、地域バランスに配慮し、特定地域在住の人材に偏らないようにする。

ぜひ、この一節を入れていただきたいと思います。

心ある地域のアートマネージャーや、自分の所属団体を超えた視野を持つ表現団体の責任者へ、この報告書案へのコメントをお願いしたいと思います。

締切りは6月8日(水)となっています。

国政府が文化政策を考えるとき、7割位は東京のことしか考えてない
http://fringe.jp/blog/archives/2011/04/02083036.html

アーツカウンシル検討委員は、特定地域の偏向が過ぎる
http://fringe.jp/blog/archives/2011/02/01204930.html