この記事は2011年4月に掲載されたものです。
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国政府が文化政策を考えるとき、7割位は東京のことしか考えてない

カテゴリー: さくてき博多一本締め | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 高崎大志 です。

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タイトルは仮説にすぎません。また演劇分野に限ってのことでもあります。
が、文化庁系助成の数字を検討していくと、私が印象としてもっていたタイトルのような比率を、より強く感じさせるようになりました。

3月30日に、独立行政法人 日本芸術文化振興会のサイトで
・芸術創造活動特別推進事業(以下「補助金」)
・芸術文化振興基金(以下「基金」)
の結果が公開されました。

ご存じのとおり、この二つの制度は、目的を異にしており、おおざっぱに言えば、補助金は国内トップクラスの事業、基金は全国区クラスの事業を対象にしているといえばわかりやすいでしょう。

私はこれまで、基金の地域バランスの不公平についてこのブログで繰り返し述べてきましたが、補助金については述べていませんでした。それは補助金については現時点で東京に集中するのは妥当性があると考えていたからです。

このため、補助金について注意してみてなかったことが悔やまれます。

補助金は、件数で82%、金額で83%が東京の団体に落ちています。
基金は、件数で61% 金額で69%が東京の団体に落ちています。

この比率について、思うところはありますが、ひとまずよしとしましょう。問題は補助金の額と基金の額の比率です。

補助金での助成金交付予定額は約9億円、基金は4億円です。
比率で言うと約7:3です。東京の採択率が高い補助金により多くの予算が使われています。
補助金と基金の額を合計して、東京とそれ以外の地域の比率を見るとこれも7:3になっています。

私も東京の重要性・先進性は認めますので、重点的な配分はあっていいと思います。しかし、日本の人口の10%の東京に13億のうち7割が落ちているというのは、どう考えてもやり過ぎです。

日本国内からお金を集めてきて、ほぼ東京だけに落としている。
この不公平さは、天下り・わたりの比ではありません。地獄チンチロの班長クラスで、ざわ・ざわ・・・という音が聞こえてきそうなほどです。

少なくとも東京に落ちる予算の比率は50%程度であるべきです。今すぐにとはいいませんが、5年程度の期間を経てこの数値を達成すべきです。そして10年後20年後には、より格差のなだらかな姿を目指すべきです。

これもこのブログで訴えてきたことですが、国政府の文化政策を審議する委員に、東京の人材が多ければ、当然こういう結果になるでしょう。委員の地域バランスについては、すぐに検討すべきです。

文化庁系助成は、人材育成やすぐれた劇場支援などの制度もあります。こちらも子細に検討すべき所ではありますが、調査研究職にない私の分析は、このあたりが限界です。
ですが、おそらくこのブログの趣旨をおおきく変えるべきものはないでしょう。