この記事は2004年6月に掲載されたものです。
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紙の厚さで読破感を演出

カテゴリー: fringeのトピック以前 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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最近、ベストセラー本を支える戦略として、嵩高紙(かさだかし)の存在がマスコミで取り上げられています。「軽くてボリューム感のある紙」で、これを使うことで同じページ数でも単行本を厚くすることが出来ます。つまり、厚みの割に文字数が少ないので一冊読み終えるのも早く、活字離れが進む若い読者に〈一冊読み切る爽快感・読破感〉を味わってもらい、読書回帰を進めようという狙いです。

蹴りたい背中
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綿矢 りさ
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蛇にピアス
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金原 ひとみ
集英社
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世界の中心で、愛をさけぶ
片山 恭一
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この3冊は全部そうで、特に人気があるのが日本製紙の「オペラウルトラシリーズ」。日経産業新聞6月15日付によると、通常の書籍用紙より約20%厚いにもかかわらず、重さは3%軽いそうです。NHK「ニュース10」で製造過程を取材していましたが、紙が途中でちぎれてしまうため、巻取機の調整などに苦労したそうです。

本の厚みを操作するだとか、読みやすいようにスカスカに組むだとか、読書好きにとっては姑息な手段に思えますが(ネット上でも批判的見解が多いです)、本が売れない時代にあらゆる手を尽くすという意味では、私は理解出来ます。版元も「これがベスト」だと思っているわけではなく、「本を手に取るきっかけ」にしたいんでしょう。

どのメディアも、表現を届けるために必死です。演劇だけが観客に恵まれていないわけじゃない。「こんな手があったのか」と思う策を駆使してください。


紙の厚さで読破感を演出」への2件のフィードバック

  1. pinkish!blog

    梅雨もギラギラ

    梅雨に入っているというのに、大変にさわやかな日が続いている。空はギラギラするくらいに輝いて青いが、そのギラギラした熱がこちらには伝わってこないような一日。さわやか、という言葉がこんなにも自然に自分の内側から湧いてくるなんてことはついぞなかった気がする。…

  2. 高野しのぶ

    紙の厚さつながりですが、今、よく折り込まれている売込隊ビーム『13のバチルス』のチラシは相当厚いです。
    縦にして持っても全くしなりません。
    小さい頃に買っていた月刊誌“小学1年生”とかの付録の紙製下敷きのように、分厚いです。
    私は自然と手にとって持って帰っていました。
    サイズはB5版なんですが目立ちます。
    大きさで攻めるのもアリですが、厚さもアリですね。

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