この記事は2004年5月に掲載されたものです。
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キャッチコピー不在

カテゴリー: fringeのトピック以前 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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ネットワークユニットDuoのコラムでも書かれていますが、魅力的なチラシがないことについては、東京でもいくら指摘しても足りないくらいです。

川南さんが書かれている「物語についての情報がない」というのは、タイトルしか決まっていないことが多い小劇場系ではありがちなことですが、それより私が呆れてしまうのは、表面にビジュアルと最低限のデータしかないチラシが圧倒的に多いことです。これは小劇場系に限りません。商業演劇や新劇系でも多く見受けられます。

どうして、表面にキャッチコピーがないのでしょう。裏面にボディコピーらしきものがあるチラシもありますが、こういうチラシをつくるカンパニーは、観客が必ず裏面を見てくれるものと信じているのでしょうか。考えが甘いと思います。

昨日は「京 チラシアートワーク指南」の打ち合わせを京さんとしました。他業界のチラシに比べ、演劇のチラシはいかに魅力がないかという話題になりました。私たちは映画のチラシと比べがちですが、世の中には様々な商品の広告があふれています。

例えば、「まだ実態がないものを売る」という意味では、青田売りのマンション広告が参考になります。これから建てるマンションに、夢のようなキャッチコピーを付けています。地元住民が赤面しそうなフレーズも少なくありません。自分には関係ないと思っても、一度マンションのサイトを巡回してみてください。衝撃を受けるはずです。

演劇の場合、単に「鑑賞する」というよりも、ライブで時空を共にするわけですから、「体験する」「参加する」に近い感覚があります。ならば映画というより、旅行のようなものではありませんか。旅行会社のツアー広告や、旅行雑誌の記事を参考にしてください。人を行動に移させる魅惑的なコピーがあふれているはずです。

有効に使えば、チラシほど魅力的な媒体はないと思いますが、これを活かしきっていないカンパニーが本当に多すぎます。広告ではなく、自己満足の印刷物で終わっているのです。fringeでは、今後の「京 チラシアートワーク指南」で厳しくこの点を訴えていこうと思います。

今日もそれなりの枚数があるチラシ束を入手しましたが、残念ながらチラシだけで行きたいと思った公演は一つもありませんでした。


キャッチコピー不在」への2件のフィードバック

  1. 小川晋作

    この件に関しては私も同意なのですが、
    特に思うのは、演劇の制作者もしくは、
    デザイナーは世の中にあふれている広告
    をあまりみていないのでしょうか?

    できれば、これはよかったよねぇって話
    せる場があれば少しずつでも状況は変わ
    ると思うんですがね・・

    それは劇団内でも劇団外でも・・

  2. 理事長

    「イタイ!ミタイ!ツクリタイ!」
    はじめまして。たぶん、そんな魅力なし広告を作っちゃてかもしれない劇団の人です。
    自分で演出をするときは漫画の帯のようなつもりでつくるので、作品と変わらないものを心がけているのですが、広告だけつくるときに思うのは、「だいたいの演出はネタバレがきらいなようだ」ということです。また、関東の人間は顧客志向が根本的に薄いこともあげられます。
    ・・・ちょっと考えちゃいますね。

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